2004 Fiscal Year Annual Research Report
大量肝切除および病態肝の肝切除における肝予備能の評価と治療 胆汁酸トランスポーターの動態を中心にした解析
Project/Area Number |
16591332
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
甲斐 真弘 宮崎大学, 医学部, 講師 (40264379)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
千々岩 一男 宮崎大学, 医学部, 教授 (90179945)
近藤 千博 宮崎大学, 医学部, 講師 (10244196)
大内田 次郎 宮崎大学, 医学部, 助手 (10363590)
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Keywords | 大量肝切除 / 肝不全 / トランスポーター / 閉塞性黄疸 / 胆汁酸 |
Research Abstract |
この1年間の研究内容について. 大量肝切除ラットモデルおよび閉塞性黄疸ラットモデルを用いて胆汁酸トランスポーターの発現の変化を解析する. 1)急性肝不全モデルとしての大量肝切除ラットモデルを用いた肝予備能評価 術後肝不全の機序解明のため,ラットに90%肝切除または70%肝切除をおこない,経時的に肝組織,胆管胆汁及び血液を採取して,肝機能の変化,胆汁流量,胆汁酸排泄およびトランスポーターの発現の変化を検討した.90%肝切除群では術後にmrp2の発現は低下したが,bsepとmrp3は上昇した.一方70%肝切除群では,90%肝切除群と逆の変動を示した.両群間の比較では,bsepとmrp3に有意差を認めた.取り込み系のトランスポーターのntcp, oatp1,oatp2は両群ともに低下したが有意差はなかった.90%肝切除後には胆汁流量,胆汁中胆汁酸排泄は有意に低下していた.90%肝切除群と70%肝切除群の間で排泄系トランスポーターのmrp2,mrp3の術後の発現変化が異なり,術後肝不全発症の早期指標の一つとなる可能性が示唆され,現在さらに検討中である. 2)閉塞性黄疸ラットモデルでのトランスポーター発現変化の解析 総胆管結紮閉塞性黄疸ラットモデルを用いて,胆管結紮後3日から28日まで経時的に血液および肝臓を採取してトランスポーターの発現の変化を解析した.胆管結紮後,排泄系トランスポーターのmrp2の発現は低下し,mrp3の発現は上昇し,これらの変化は胆管結紮28日後も持続していた.取り込み系トランスポーターのoatp, ntcpは,胆管結紮後早期に発現が低下し,28日後も低下していた.毛細胆管への排泄に関わるmdr2の発現には変化を認めなかった.閉塞性黄疸の期間により,これらのトランスポーターの発現変化が異なることが示唆された.現在,蛋白発現を検討中である.
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