2005 Fiscal Year Annual Research Report
膵癌の治療を目指したサイトカインによる接着分子の制御機構と転移・浸潤機構の解明
Project/Area Number |
16591339
|
Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
岡田 祐二 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 講師 (10305550)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松尾 洋一 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 助手 (40381800)
真辺 忠夫 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (80127141)
山本 稔 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 助手 (70347417)
|
Keywords | 膵癌 / 肝転移 / IL-1ra(Interleukin-1 receptor antagonist) / 血管新性能 |
Research Abstract |
我々は膵癌の肝転移、神経浸潤に関する分子生物学的研究を続けており、これまでにも多くの誌上報告を行ってきた。膵癌培養細胞を用いて肝転移を高率に引き起こす細胞株がIL-1αを分泌している事実を突き止め、IL-1αを用いた実験により膵癌細胞が細胞外マトリックスへの接着・浸潤能が更新することも報告してきた。今回の研究はgemcitabine、INF-α,γ、IL-1ra(Interleukin-1 receptor antagonist)が、細胞外マトリックスへの接着・浸潤能に関与するintegrinの発現にどのような影響を及ぼしているかを検討することを目的としている。 平成16年度には、nude mouseでの膵癌細胞の肝転移に関する検討で、IL-1raが有意な肝転移抑制効果を示した。また、HUVECを用いた血管浸潤能に関する検討では、IL-1raが有意に血管新性能を抑制することを証明した。 平成17年度には、細胞内シグナル伝達経路、転写因子に関する検討を行った。転写因子であるNF-κBの活性をIκB dominant negative vector導入、もしくはchemical inhibotorにより抑制したところ、膵癌細胞の増殖能と細胞外マトリックスへの浸潤能は有意に抑制された。また、AP-1をchemical inhibitorにて抑制した検討でも同様に膵癌細胞の増殖・浸潤能は有意に抑制された。これらの検討により、膵癌細胞における接着分子発現とその発現機構のシグナル伝達に対する影響、および癌細胞の増殖・接着・浸潤能に対する影響を観察することができ、実際の膵癌に対する分子生物学的治療方法の効果的な臨床応用に関する基礎的な知見を得ることができたと考える。
|
Research Products
(12 results)