2005 Fiscal Year Annual Research Report
大腸癌におけるMSI腫瘍の簡易判別法の開発と診断への応用
Project/Area Number |
16591358
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
逸見 仁道 東邦大学, 医学部, 助教授 (90165514)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小池 淳一 東邦大学, 医学部, 助手 (30339155)
有田 通恒 東邦大学, 医学部, 助手 (80307719)
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Keywords | 大腸癌 / DNAミスマッチ修復遺伝子 / 分子遺伝学的マーカー / MSI / LOH / EMAST / 薬剤感受性 / DSB |
Research Abstract |
mismatch repair(MMR)欠損により腫瘍細胞はマクロサテライト領域に不安定性(microsatellite instability : MSI)を示すとともに大腸癌の化学療法に最もよく用いられる5-FUやその誘導体を含む様々な抗腫瘍薬に対して高レベルから低レベルの抵抗性を示すことが知られている。更に最近の知見から、MMR欠損腫瘍に特化した化学療法の確立は可能であり、そのためには大腸癌全体の約20%前後と云われるMSI腫瘍の簡便検索法の確立やMSI腫瘍に卓効を示す薬剤の探索などが急務であると考えられた。 本年度は昨年度に引き続き(1)MSI症例を中心とした大腸癌を分類するための簡便法確立のための基礎研究(2)細胞株を用いたMMR欠損細胞の高感受性薬の作用機作の解明の2点を中心に研究を行った。 (1)分子遺伝学的マーカーによる検討 家族性大腸癌(FAP及びHNPCC)を除く散発性大腸癌70例を対象にMSI、LOH、EMAST検出用のlocus markerをそれぞれ7種、14種、6種を用いて検討した結果、MSI腫瘍11例(MSI-H 4例;MSI-L 7例)、EMAST陽性39例が見い出された。EMAST不安定性はMSI腫瘍全例で認められたが、MSI-H症例での泳動パッターンは典型的なEMAST陽性例とは異なっているため、両者の発生機序は異なっていると考えられた。更に、EMAST陽性例では陰性例と比較し、LOHの頻度が高く、chromosomal instability(CIN)腫瘍に包含されると考えられた。臨床病理学的特徴との関連は現在データを取りまとめ中である。 (2)細胞株を用いたMMR欠損細胞の高感受性薬の作用機作の解明 MMR欠損大腸癌細胞株HCT116とその亜株HCT116+ch3を用いた研究から、MMR欠損細胞はDNA polymerase阻害薬に高感受性を示すことが分かった。この高感受性機構について検討した結果、現在のところ、MMRタンパクがDNA二重鎖切断(DSB)を防ぎ、DSB修復に関わっていることを示唆する結果を得ているが、更に、詳細に検討する必要がある。
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Research Products
(4 results)