2004 Fiscal Year Annual Research Report
炎症性腸疾患の消化管上皮におけるTXNIPの発現と粘膜免疫
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16591359
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
高橋 泰夫 日本大学, 医学部, 助手 (30339329)
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Keywords | 炎症性腸疾患 / TXNIP / 遺伝子発現 |
Research Abstract |
<研究目的> 本研究の目的は、炎症性腸疾患を含む胃・小腸・大腸はどのヒトの消化管組織において、TXNIP(thioredoxin interacting protein、別名VDUP1)の発現情報及び発現細胞を明らかにすることである。 <研究対象> 平成16年度研究実施計画に従い、インフォームド・コンセントのもと、ヒト臨床試料;潰瘍性大腸炎患者から採取された大腸・小腸組織、胃がん及び大腸がん患者から採取された癌部と非病変部の組織、を収集した。得られた試料は、遺伝子発現解析用と免疫組織化学・ISH用にそれぞれ保存した。すべての試料は、病理検査用にHE染色を施行した。また、組織に浸潤したマクロファージの数を炎症程度の評価とするため、CD68抗体で免疫組織化学染色をおこない、CD68陽性細胞を定量した。 <DNAマイクロアレイを用いた発現解析> 7名の潰瘍性大腸炎患者より得られた病変組織と非病変組織(3名の大腸がん患者より採取された非癌部)からmRNAを抽出して、Affymetrix GeneChip (Human Genome U95Av2 Array)を用いて、およそ1万2千個の遺伝子の発現を調べた。そのうち、潰瘍性大腸炎群と対照群との間で3倍以上発現が変化し、かつ、統計学的(Mann-Whitney U-test)に有意な発現の変化を認めた遺伝子はわずかに29個であった。さらに、TXNIP遺伝子を含むredoxに関連する遺伝子の発現を調べたところ、TXNIP、thioredoxin、thioredoxin reductase、thioredoxin-like proteinの遺伝子は、潰瘍性大腸炎群と対照群との間でいずれも有意な発現の変化を認めなかった。 <来年度の研究課題> 平成16年度研究結果をふまえて、平成17年度は、免疫組織化学法及びin situ hybridization(ISH)を用いて、潰瘍性大腸炎患者から得られた組織とその他の組織において、TXNIP発現細胞の同定と発現局在を比較検討する予定である。
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