2005 Fiscal Year Annual Research Report
線維芽細胞増殖因子受容体KGFRの遺伝子発現制御による大腸癌分子標的治療の可能性
Project/Area Number |
16591360
|
Research Institution | NIPPON MEDICAL SCHOOL |
Principal Investigator |
渡辺 昌則 日本医科大学, 医学部, 講師 (70267227)
|
Keywords | Keratinocyte growth factor / 大腸癌 / 細胞増殖因子 / KGF receptor (KGFR) / 免疫組織化学 |
Research Abstract |
癌転移に不可欠な細胞増殖、血管新生に重要な役割を果たしている線維芽細胞増殖因子FGFは22種が報告されており、受容体の局在の相違から線維芽細胞、血管内皮細胞、癌細胞を含めた上皮細胞などに作用する事が知られている。FGFのうち、FGF-7とFGF-10は50%以上のアミノ酸相同性を示し、別名をKeratinocyte Growth Factor (KGF)-1,2と呼ばれ、上皮細胞に存在する同一のFGF Receptor 2iiib (KGFR)を介して、癌細胞を含めた上皮細胞の増殖に関与している。現在4種類のFGF receptorが報告されているが、KGFRはFgfr2遺伝子の選択的スプライシングにより産生され、KGFRは上皮細胞に特異的に局在し、FGF-1、FGF-3、FGF-7(KGF)、FGF-10(KGF-2)などと結合する事により細胞増殖に関与する事が知られている。 我々は1999年より、大腸癌組織におけるKGF,KGF-2とreceptorであるKGFRの発現、局在を研究し、線維芽細胞、大腸癌細胞で産生されたKGFが、paracrine、autocrineに大腸癌の増殖に関与している事を報告した。2001年KGFのantisense oligonucleotideを作製し、mRNAレベルでのKGF作用の阻害、2003年short interfering RNA (siRNA)を用いて、KGFRの遺伝子レベルでの阻害を試みた。しかし、いずれの大腸癌細胞増殖抑制実験においても充分な効果は得られず、KGF作用抑制による大腸癌細胞増殖制御については証明できなかった。一方、大腸癌組織における免疫組織化学染色の結果では、KGFRは低分化型の大腸癌には全くみられず、多くの分化型大腸癌に認められた事から、逆にKGFの作用は腺管構造の形成やその維持に強く関与している事を2005年に報告した。
|
Research Products
(2 results)