2004 Fiscal Year Annual Research Report
マウスTGFβレセプターターゲットRNAiによる慢性肝障害の遺伝子治療
Project/Area Number |
16591364
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
田尻 孝 日本医科大学, 大学院・医学研究科, 教授 (20163462)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
秋丸 琥甫 日本医科大学, 医学部, 教授 (40142541)
有馬 保生 日本医科大学, 医学部, 講師 (30168025)
吉田 寛 日本医科大学, 医学部, 講師 (60246999)
横室 茂樹 日本医科大学, 医学部, 講師 (30267223)
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Keywords | RNA干渉 / 肝障害 / 遺伝子治療 / TGF-β1 / TGF-β receptor II |
Research Abstract |
平成16年度はあらかじめ提出している実験計画に基き以下の研究実績を得た。 1.種々のvectorを用いたRNAi発現vectorの作製と遺伝子導入の確立。 (1)ターゲットとなるtransforming growth factor beta receptor II(以下TGFbRII)の標的配列部位決定し、H1 promoter, t-RNA promoter, CMV promoterによるRNAi vectorの作製に成功した。 (2)それぞれのvectorをカチオン脂質による遺伝子導入法により、ヒト、マウスのcell lineにEGFP発現vectorとともに遺伝子導入し、遺伝子導入効率(50-60%)、効果発現までの時間(約12時間)、効果持続時間(約7-10日)を確認した。また、RNAi発現vectorを導入された細胞をselectionするための抗生物質の濃度を検定しPuromycinで(5-10μg/mL)が至適濃度であった。 2.TGFbRII抑制効果の確認のための培養細胞上における生化学的、形態学的解析。 (1)Western blotting法、Real-time PCR法を用いて、TGFbRIIをターゲットとするRNAi発現vectorがたんぱく質、mRNAレベルにおいて標的遺伝子の発現を抑制することを確認した(それぞれ70-90%程度)。 3.培養細胞上でのTGFbRII抑制によるTGFβ1シグナル伝達抑制と細胞障害抑制効果の確認。 (1)recombinant TGFβ1を用いて細胞内TGFβsignalを活性化させ、シグナル伝達の各ステップ(細胞内シグナル伝達、標的遺伝子の転写)をWestern blotting法、Real-time PCR法を用いて検討したところ、上記の各vectorはシグナル伝達を抑制することが確認された(標的遺伝子の転写は統計学的有意差をもって抑制された。P<0.001) (2)免疫組織学的手法、RIを用いた細胞周期の検討より、上記vectorはTGF-β1シグナルによる細胞障害(apoptosis, cell cycle arrest)を有意に抑制し(P<0.01)、細胞増殖能を維持しえることが確認された。 (3)形態学的観察(H&E)により、上記vectorはTGF-β1シグナルによる細胞の形態変化を抑制し、細胞に有利に働くことが確認された。
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