2005 Fiscal Year Annual Research Report
ミトコンドリアのプロテオミクスによる脂肪肝外科侵襲時における脆弱性の病態解析
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16591367
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Research Institution | St.Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
中野 浩 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 講師 (10241035)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 真一 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 教授 (20129836)
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Keywords | 脂肪肝Zuckerラット / ミトコンドリア蛋白 / ischemic preconditioning / JC-1 |
Research Abstract |
【方法1】40週齢のWistarラットと40週齢の脂肪肝Zuckerラットに対して、70%肝切除術を施行して、24時間後の残存肝を採取し、24時間後の残存肝を採取した。 【方法2】40週齢の脂肪肝Zuckerラットに対して、10分間のischemic preconditioningを施行した後に20分間全肝虚血を施行した群と、単に20分間全肝虚血を施行した群とを作製し、24時間後に肝組織を採取した。 【方法3】70%肝切除術を施行して、24時間後の残存肝を採取し、肝切除前の肝組織を採取した。 肝ミトコンドリアをSigma mitochondria isolation kitを用いて分離した。ミトコンドリア蛋白を二次元電気泳動により分離し、肝切除前後で有意に変化した蛋白スポットを同定し、Sypro Ruby染色を施行して、蛋白スポットを切り出した後に、イオントラップLC/MS/MSシステムでアミノ酸配列を解析し、Mascot Researchにて蛋白を同定した。また、ミトコンドリア機能を、ミトコンドリア内膜電位(JC-1)とミトコンドリア酸化型/還元型グルタチオン比にて判定した。 【結果1】脂肪肝Zuckerラットの肝ミトコンドリアでは、肝切除によるミトコンドリア内膜電位の減少率(JC-1減少率)60.3±10.7%とWistarラットの43.3±6.4%に比較して有意に減少し(p<0.05)、脂肪肝Zuckerラットの肝ミトコンドリア機能の低下が認められた。また、脂肪肝Zuckerラットのミトコンドリア酸化型/還元型グルタチオン比は3.7±0.5%でWistarラットの2.5±0.1%に比較して有意に高値であった(p<0.05)。 ミトコンドリア蛋白のプロテオミクス解析では、脂肪肝ZuckerラットはWistarラットに比較して、ubiquinol cytochrome C reductase core protein I, superoxide dismutase 2,2-cystine peroxidaseのdown-regulationが認められた。 【結果2】ischemic preconditioningを施行した群は、施行しなかった群に比較して、JC-1が約30%高値で有意差が認められた。 【結論】脂肪肝Zuckerラットの肝ミトコンドリアは70%肝切除により侵襲を受け、ミトコンドリア内膜に存在するfree radical scavengerの役割を担う蛋白の障害が、ミトコンドリア機能異常の原因であることが示唆された。また、脂肪肝にischemic preconditioningを施行して肝切除を行うことの有用性が示唆された。
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Research Products
(3 results)