2004 Fiscal Year Annual Research Report
外科侵襲や感染におけるフィブロネクチンの生体保護作用の解明
Project/Area Number |
16591372
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
權 雅憲 関西医科大学, 医学部, 助教授 (70225605)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
海堀 昌樹 関西医科大学, 医学部, 助手 (30333199)
里井 壮平 関西医科大学, 医学部, 助手 (90340695)
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Keywords | フィブロネクチン / 外科侵襲 / 生体保護作用 |
Research Abstract |
【目的】フィブロネクチン(Fn)は血液、体液、組織細胞間質に存在し、細胞保持と細胞移動を制御する高分子糖蛋白であり、細胞増殖や分化、組織修復や創傷治癒にも関与している。大量肝切除後の早期死亡例にはエンドトキシン血症や重篤な感染症が合併している場合が多いことから、われわれはFnの生体保護効果を検討した。 【方法】1)SD系雄性ラットを用い70%肝切除術を施行、2日後にLPS1.5mg/kgを静脈投与しエンドトキシンショックモデルを作成した。LPS投与2時間前にFn100mg/kgを静脈投与した群をFn群とし、control群には100mg/kgのBSAを投与した。2)マウスの肝不全モデルは9週齢の雌性マウスにD-G400mg/kgとLPS50μg/kgを腹腔内に同時投与した。D-G/LPS投与30分前にFn500mg/kgを静脈投与した群をFn群とし、同量のBSAを投与した群をC群とした。 【結果】1)ラット肝切除後LPS投与モデルにおいて、Fn投与群はControl群よりも有意な生存率の改善を認めた。炎症性サイトカイン(TNF-α、IL-1β、IFn-γ)は血清、肝組織ともFn投与群で有意にその増加が抑制され、肝組織の変性壊死やTUNEL染色陽性細胞数もFn投与群で有意に抑制された(論文掲載済)。2)D-G/LPS同時投与により、C群では全例が死亡したが、Fn群での生存率は100%と有意に良好であった。D-G/LPS投与後の血清AST、ALT、LDH値はFn投与群では低値で推移し、C群と有意差を認めた。血清・肝組織中炎症性サイトカイン濃度もFn投与により有意な低値を示した。 【結論】Fnは炎症性サイトカイン産生抑制やアポトーシス抑制による肝保護作用により、肝切除後エンドトキシン血症やD-G/LPS誘発肝不全モデルの生存率を改善したと考えられた。
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Research Products
(1 results)