2006 Fiscal Year Annual Research Report
外科侵襲や感染におけるフィブロネクチンの生体保護作用の解明
Project/Area Number |
16591372
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
權 雅憲 関西医科大学, 医学部, 助教授 (70225605)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
海堀 昌樹 関西医科大学, 医学部, 助手 (30333199)
里井 壮平 関西医科大学, 医学部, 助手 (90340695)
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Keywords | フィブロネクチン / 外科侵襲 / 生体保護作用 / MRSA / オプソニン / 熱傷 |
Research Abstract |
【目的】近年、メチシリン耐性ブドウ球菌(MRSA)による感染の重篤化が問題となっている。ブドウ球菌の細胞壁成分の一つとしてプロテインA(PA)があり、臨床材料から分離される株のおよそ95%にPAの産生が認められている。フィブロネクチン(Fn)は、食細胞によるブドウ球菌の貧食において重要なオプソニンであり、食細胞は補体C3およびFnレセプターを介してブ菌を貧食し、殺菌するとされている。われわれはFnのMRSA抑制効果を検討した。 【方法】1)MRSA菌(protein A+)、Mutant MRSA菌(protein A-)とFn溶液を等量混合した後、37℃にて15分間インキュベーションし、ラット腹腔溶出細胞を混合し、遠心にてラット腹腔溶出細胞を除去し、上清中の生菌数を測定した。2)体表面積の約30%熱傷マウスの皮下にMRSA菌浮遊液を熱傷部位の皮下へ注射し、Fnやアルブミン投与によるマウスの生存率を検討した。 【結果】1)Fn投与により、ブドウ球菌の食細胞への貧食率が有意に増加し、食細胞の代謝阻害剤や培養細胞(BHE Cell)を用いることにより、そのオプソニン活性は、真の食細胞内への取り込み促進作用であることが確認された。また、ヒトおよびラットの単球および好中球を用いた検討では、Fnのオプソニン活性は、単球を用いた場合には認められたが、好中球の場合は認められなかった。さらに、単球のトリプシン処理により、その活性が消失することより、Fnのレセプターは単球には存在するが、好中球にはないものと推察された。2)アルブミン投与によるマウスの生存率は10%であったが、Fn投与群の生存率は80%と有意に良好であった。 【考察】FnはMRSA菌のPAと特異的に結合し、オプソニン作用により食細胞の貧食能を向上させた。また、熱傷マウスを用いたMRSA菌による敗血症を予防できたことから、Fnによる抗生剤耐性菌の出現のないもMRSA治療が可能であると考えられた。
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Research Products
(4 results)