2004 Fiscal Year Annual Research Report
ユビキチンシステムを標的とした胸部腫瘍に対する新規分子標的の解析と臨床応用
Project/Area Number |
16591390
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
鈴木 一也 国立大学法人浜松医科大学, 医学部, 助教授 (00201575)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北川 雅敏 国立大学法人浜松医科大学, 医学部, 教授 (50294971)
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Keywords | ユビキチンリガーゼ / Pirh2 / p53 / 非小細胞肺癌 / 抗ガン剤感受性 / 癌抑制遺伝子 |
Research Abstract |
Pirh2はアンドロゲン受容体に結合するRING-フィンガードメインを持つタンパク質ARNIPとしてクローニングされていた。このPirh2がp53のユビキチンリガーゼ活性を持ち、p53をユビキチン化し、分解に導くと報告されている。Pirh2を介したユビキチン化によってp53等の癌抑制遺伝子産物の分解が亢進すれば癌化は促進すると考えられる。しかしながら臨床癌におけるPirh2の関与は不明であった。そこで我々は非小細胞肺癌を用いてPirh2の発現をリアルタイム-RT-PCRによって定量した。 方法:組織よりIsogenを用いTotal RNAを調整し、逆転写酵素によりcDNAを合成した。Pirh2遺伝子のイントロンを挟むようにエキソン8-9にプライマーを設定した。cDNAを鋳型に上記プライマーを用いてリアルタイム-RT-PCRを行った。また免疫染色による確認を行った。 結果:非小細胞肺癌患者の癌組織と正常肺組織について定量したところ、20例のadenocarcinoma中13例において癌部で2倍以上のPirh2の発現亢進が見られた。9例のsquamous-cell carcinoma中8例において癌部で2倍以上のPirh2の発現亢進が見られた。免疫染色では肺癌組織にPirh2の発現が確認された。 考察:非小細胞肺癌において72%と高頻度のPirh2の発現亢進がみられたことは、これらの癌ではPirh2を介したユビキチン化によってp53等の癌抑制遺伝子産物の分解が亢進していることが考えられ、肺における発癌あるいは肺癌の進展にPirh2の発現亢進が関与している可能性が示唆された。さらに臨床的悪性度、予後、抗ガン剤感受性などとの相関について検討中である。
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Research Products
(6 results)