2004 Fiscal Year Annual Research Report
原発性肺癌細胞におけるDNA damage sensor蛋白質発現の意義の研究
Project/Area Number |
16591395
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
眞庭 謙昌 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (50362778)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉村 雅裕 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (70324910)
大北 裕 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (40322193)
林 祥剛 神戸大学, 医学部, 教授 (50189669)
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Keywords | 原発性肺癌 / Rad9 / DNA複製 / 細胞周期 |
Research Abstract |
(1)DNA damage sensor蛋白質複合体Rad9-Rad1-Hus1を昆虫細胞HiFive内で強発現させ,イオン交換法およびFlagによる免疫沈降法を用いて精製した.この蛋白質複合体をRad17,ATPの存在下にdouble strand breakをもつプラスミド(Nicked DNA)と反応させ,sizing column内を泳動させることによりRad9-Rad1-Hus1とNicked DNAとの結合の有無を確認した. (2)当施設で切除された原発性肺癌48症例を対象として,パラフィン包埋された腫瘍部組織を用いて抗hRad9抗体による免疫染色を行った.Ki67の染色も行い関連を検討した.また腫瘍部新鮮凍結標本より総蛋白質を抽出し,Rad9抗体を用いてWestern blottingを施行した.さらに蛋白質のリン酸化の有無を確認するためにフォスファターゼ処理を行った.31%で腫瘍細胞の核に限局して強い染色が認められた.Western blottingの結果,Rad9の発現量は免染所見と一致し,Rad9のリン酸化が確認された.またRad9の強発現例ではKi-67 indexが有意に高値を示した. 癌細胞では高頻度にDNA複製異常をきたし,ゲノムの不安定性が増加した状態にある.従ってRad9が,癌細胞内で蓄積されたDNAの傷のメインテナンスに関わる重要の機能をもつことが予想された.今回の臨床検体を用いた検討により,肺癌細胞内でRad9蛋白の強発現が高頻度にみられることが明らかになり,それが細胞の分裂能亢進に関連することも確認された.以上のことよりRad9が癌細胞における細胞周期制御に関与することが示された.さらに本蛋白質群の分子生物学的特性を十分に理解した上で,臨床材料における発現とその意義を検討することにより,新しい分子標的となる可能性が示唆された.
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Research Products
(1 results)