2005 Fiscal Year Annual Research Report
腫瘍微小循環生体観察法の確立と腫瘍微小循環を介した癌治療法の開発
Project/Area Number |
16591406
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
蘇原 泰則 自治医科大学, 医学部, 教授 (60114097)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
遠藤 俊輔 自治医科大学, 医学部, 助教授 (10245037)
佐藤 幸夫 自治医科大学, 医学部, 講師 (10312844)
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Keywords | 脳内肺小血管 / 肺表面肺微小血管 / 軟X線画像解析装置 / 蛍光生体顕微鏡 / 腫瘍微小循環 / トランスジェニック・ラット |
Research Abstract |
平成17年度は肺癌肺転移巣腫瘍微小循環の生体観察法を確立し、この方法を用いて低酸素が肺内肺小血管に与える影響や抗腫瘍リンパ球と腫瘍微小血管との関係について検討を加えた。 (A)軟X線画像解析装置による肺内肺小血管の生体観察法の確立および低酸素が肺内肺小血管に与える影響について。 ドンリュウラットを腹腔内麻酔し、レスピレーターで換気させ、左胸壁を切除し、右室漏斗部よりタイゴンチューブを刺入し、その先端を肺動脈主幹部まで押しすすめ留置する。左肺横隔膜部を肺固定用吸引チャンバーに挿入固定し、インバーター式軟X線発生装置の上におく。造影剤(イオパミロン)を肺動脈主幹部より注入し、高感度のCCDカメラで撮影すると、最大約30倍の肺血管造影像が得られる。この画像を画像解析ソフト(イメージ・プロ)で解析することによって、肺内小血管(100〜600μ)の生体計測を可能にした。 このシステムを用いて低酸素(15%O2 in N2吸入)が肺内肺小血管に与える影響を解析したところ、直径400〜100μの肺小動脈が10〜15%収縮し、700μ以上の肺小動脈が5〜10%拡張した。以上より、低酸素は筋性肺動脈を収縮させ、これによる肺高血圧により弾性肺動脈が拡張することが分かった。 (B)蛍光顕微鏡を用いた肺表面肺微小血管の生体観察法の確立について この観察は肺表面にある腫瘍毛細血管を蛍光顕微鏡で直視下に観察することにより、抗腫瘍リンパ球と腫瘍微小血管との関係を明らかにしようとするものである。従来、我々はacridine redを静注することによってリンパ球を生体蛍光染色し観察してきた。本研究では、リンパ球が蛍光発色する特殊なラットを作成(green fluorescent protein transgenic rat)し、これを用いて、抗リンパ球を観察した。従来の方式より安定的に鮮やかに蛍光を発するリンパ球が観察された。 これを用いて抗腫瘍リンパ球と腫瘍微小血管との関係を観察したところ、抗腫瘍リンパ球は腫瘍および腫瘍微小血管を全く認識しない(反応しない)ことが明らかとなった。
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Research Products
(6 results)