2005 Fiscal Year Annual Research Report
悪性腫瘍肺転移における腫瘍内酸素分圧のコントロールによる血管新生の抑制
Project/Area Number |
16591410
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
堀之内 宏久 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (60173647)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 紘一 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (80051704)
渡辺 真純 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (90201227)
泉 陽太郎 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (90245506)
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Keywords | 癌 / 低酸素 / 放射線治療 / 組織酸素分圧 / 血管新生 |
Research Abstract |
平成16年度はDonryuラットに発生した腹水肝癌であるLY80を用いて人工酸素運搬体による放射線感受性の増強効果について検討した。人工酸素運搬体として人工合成のヘムをアルブミンに包摂させたアルブミンヘム(rHSA-cycP)を用いた。その結果、アルブミンヘムを動注した後に照射を加えることによって放射線感受性が増強することが明らかとなった。 平成17年度には腫瘍細胞を培養し、低酸素環境で照射を行なったときと、通常の培養系で照射を行なった際の感受性、およびアルブミンヘムの効果について検討した。 大気中の培養系では培地の酸素分圧は147mmHg付近にあり、この条件下で腫瘍細胞は幾何級数的に増殖する。LY80は浮遊細胞なので、培地の深さによる影響をほぼ無視することが可能である。この細胞系に照射を行うと死細胞の閉める割合の増加と細胞数の増殖低下が認められた。アルブミンヘムを培地に加えて同様の実験を行なったが、細胞増殖、死細胞の増加の点では培養液にアルブミンを加えた群と有意差を認めなかった。この結果はアルブミンヘムが腫瘍細胞の増殖および放射線感受性の変化に影響を与えていないことを示唆していた。低酸素環境下での培養条件を確立するため、最近の嫌気培養法を用いたが、低酸素環境の持続時間が短く、また、培地のpHを保持することができないため、低酸素培養チャンバーを調整し、倍地中の酸素分圧を下げることとして検討した。その結果、培養液中の酸素分圧を17mmHg以下にすることが困難であることが明らかとなった。生体内での腫瘍酸素分圧は2から10mmHgの間にあるため、この範囲で培養ができる低酸素チャンバーの作成を行なっている。17mmHgでの照射実験の検討では酸素化したアルブミンヘムを加えて照射を行った群の死細胞が増加している傾向があった。
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