2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16591432
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
稲生 靖 東京大学, 医学部附属病院, 研究拠点形成特任教員 (50372371)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤堂 具紀 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (80272566)
片岡 一則 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (00130245)
西山 伸宏 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (10372385)
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Keywords | 悪性脳腫瘍 / 化学療法 / ドラッグ・デリバリー・システム / ナノミセル |
Research Abstract |
脳腫瘍の化学療法においては、全身毒性を抑えつつ高い腫瘍内濃度を達成することが難関のひとつである。高分子ナノミセル化抗癌剤は実用的なDrug Delivery System (DDS)として注目されている。この高分子ミセル製剤は外側が水和したPEGであり、内側が抗癌剤を保持した疎水性の連鎖の核となっている。血管内に投与された高分子ミセルは腎からも網内系からも排出されずに、不活性型のまま数日間にわたり循環血液中にとどまる。一方、腫瘍部では透過性の亢進した新生腫瘍血管を経て病変部に集積、その後徐々に解離してコアの薬物を放出し効果を現す。アドリアマイシン・ミセルは一部の癌においてすでに国内において臨床試験にまで進んでいる。本研究では、第二世代の白金製剤Oxaliplatinをもとに、より強力な抗腫瘍効果を持つDachplatinミセルを作製し、その効果をマウス腫瘍モデルにおいて検討した。皮下腫瘍モデルにおいて、Dachplatinミセル製剤はOxaliplatinに比し優れた抗腫瘍効果を示す傾向が得られた。また、脳内移植腫瘍モデルにおいて、Dachplatinミセル製剤の投与によりOxaliplatinに比し有意な生存期間の延長が得られた。白金製剤の腫瘍内濃度の推移を測定し抗腫瘍効果との関連を検討、さらに優れた効果の得られる投与のスケジュールを開発途上である。これらの結果から、抗癌剤の高分子ナノミセル化により化学療法製剤の脳腫瘍への応用範囲が各段に広がることが示唆された。
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