2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16591449
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
吉井 與志彦 琉球大学, 医学部, 教授 (50110507)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土田 幸広 琉球大学, 医学部附属病院, 講師 (90363663)
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Keywords | ハブ毒 / OHAP-1 / 悪性神経膠腫 / p53 / カフェイン |
Research Abstract |
ハブ毒から抽出されたハブ毒素OHAP-1は、悪性神経膠腫細胞に対して濃度依存性に増殖抑制効果を示し、過去の研究によりこれは主にアポトーシスによることが示されている。アポトーシスにはp53遺伝子が重要な役割を果たしており、これまでに我々はp53 statusの異なる悪性神経膠腫細胞株(P53野生株A172,U87、p53変異株T98G, U251)を用いOHAP-1の増殖抑制効果を検討してきた。その結果OHAP-1はp53変異株に対してもp53野生株に対するのと同様の増殖抑制効果を示すことが分かった。昨年度は、放射線の殺細胞効果を高めることが分かっているカフェインを用い、低濃度でのOHAP-1の増殖抑制効果がカフェインにより高められるかどうかを検討したところ、すべての細胞株においてOHAP-1単独投与よりもカフェインを加えたもので増殖抑制効果が強く認められた。この傾向は特にp53変異株であるT98Gにおいて顕著にみられた。カフェインの増殖抑制効果における相乗作用のメカニズムとして、放射線照射により生じたDNA損傷修復時に重要な役割を果たす遺伝子ATMの働きをカフェインが阻害することにより、細胞周期を停止させてDNA修復を行うというメカニズムが阻害され、DNA修復が十分に行われないまま細胞周期が進行してしまいアポトーシスが誘導され細胞増殖抑制が増強されると考えられている。OHAP-1投与時のカフェインの細胞増殖抑制効果の増強メカニズムとして同様の機序が働いているかどうかは不明であり、今年度はそれぞれの薬剤投与後の細胞周期の変化をflow cytometryを用いて解析した。その結果、T98Gでは、OHAP-1単独投与により生じたG2/M blockが、カフェイン投与により消失していることがわかった。P53野生株であるA172,U87ではそのような減少は認められず、カフェインによるOHAP-1の細胞増殖抑制効果増強の一因として、DNA修復の阻害が考えられた。しかし、同じp53変異株であるU251ではこのような現象は認められず、その他の機序が関係していることが示唆された。
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