2005 Fiscal Year Annual Research Report
頸部頚動脈狭窄症におけるプラーク内出血発生機序に関する分子生物学的研究
Project/Area Number |
16591451
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
山本 勇夫 横浜市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (30158266)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅野 洋 横浜市立大学, 大学院・医学研究科, 準教授 (40244496)
間中 浩 横浜市立大学, 附属病院, 助手 (20363830)
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Keywords | 頚動脈狭窄症 / プラーク / 粥状硬化 / 頚動脈内膜剥離術 / VEGF |
Research Abstract |
[目的]最近、頚部頚動脈狭窄性病変の本態である粥状硬化の成因には、vascular endothelial growth factor (VEGF)とその受容体Flit-1が関与し、抗Flit-1によって粥状硬化が抑制されることが明らかにされた。VEGFは血管新生/透過性因子であり、頚部頚動脈狭窄病変のプラーク内出血を惹起している可能性もある。また、VEGFはhypoxia-inducible factor(HIF)によって誘導されることが報告され、更にHIFはvon Hippel-Lindau(VHL) protein, Ets-1によって制御されている。今回、これらの因子群が頚部頚動脈狭窄病変においてどのような役割を演じているかを解明することを目的とした。 [方法]CEAの際に得られた内膜剥離標本71例を対象とした。ホルマリン固定標本あるいは凍結切片を、各種蛋白発現についてVEGF, HIF-1α,VHL, CD34,VEGF-Receptor(Flit-1),SMC, Macrophageに対する各種抗体を用いた免疫染色、Western blot法にて、遺伝子発現についてRT-PCR法にて評価した。 [結果]VEGFの発現は、粥状硬化巣内の泡沫細胞に強く発現し、大部分はmacrophageで一部はSMC由来であった。VEGFの発現するfoam cellは、plaque coreには少なく、fibrous cap、plaque shoulderに多く存在し、しかも剥離内膜深層に多く認められた。Flit-1の発現は、ほぼVEGFの発現と一致していた。また、VHLはplaque内の新生血管の内皮細胞に認められ、HIF-1αはplaque深部に弱い発現をみた。血管のマーカーであるCD34は、VHL同様、plaque内の新生血管に一致して認められた。Plaqueから蛋白を抽出してWestern blot法で検討した結果でも正常血管壁より有意にVEGF発現の増加を認め、VEGFのmRNAの発現も有意にplaqueで増加していた。 [結論]頚部頚動脈の粥状硬化巣内におけるVEGFは、大部分macrophage由来の泡沫細胞に発現しており、その誘導因子の一つとしてHIF-1αが示唆され,VHLによって制御されている可能性が示唆された。Macrophageは酸化LDLを取り込んでecholucentな不安定プラークの形成に関与しており、VEGFとその受容体の分子機構の解明は頚動脈狭窄病変の診断・治療にとって重要であると考えられた。
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Research Products
(3 results)