2004 Fiscal Year Annual Research Report
脊髄損傷に対する再生治療-胚性幹(ES)細胞を用いた基礎的研究
Project/Area Number |
16591455
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
中瀬 裕之 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (10217739)
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Keywords | 脊髄損傷 / 再生治療 / 胚性幹細胞 / 脊髄血流 |
Research Abstract |
本研究の目的は、脊髄損傷に対する再生治療において、移植材料としての胚性幹(ES)細胞の有用性を確立することである。平成16年度は、脊髄損傷急性期〜亜急性期における脊髄外傷後の傷害部における脊髄血流の変化を中心に検討した。 8-10週齢の129/SvJ male mouseを用いて脊髄損傷モデルを作成。気管内挿管後に人工呼吸器で調節呼吸を行った。尾動脈にカテーテルを挿入し,持続血圧・脈拍をモニターし、血液ガスを測定した。顕微鏡下にTh9-13まで正中皮膚切開し、Th10の椎弓切除術を行う。その後、Pneumatic impact deviceを使用し、Impact velocityを3m/s(40 psi)として脊髄損傷を加えた。SSEP測定及び実験的多点laser flowmetry(Laser-Doppler scanning)法を用いて脊髄外傷部及び脊髄外傷周辺部の各領域における外傷前後の脊髄血流測定(25か所)を行った。なお、増殖細胞を標識するために、BrdU 50mg/kgを0.9%生理食塩水に溶かしたものを脊髄損傷モデル作成時に腹腔内投与した。術前と術後0,1,7,14,21,28日に以下のような機能的な予後の評価を行う。behavioral functionの評価法としてmotor score, toe spread, pain withdrawal, platform hang, wire mesh descent, rope walk, hind foot bar grab testを行なった。 その結果、脊髄損傷後の脊髄血流の変化をとらえ、脊髄損傷には二次的な脊髄虚血が関与していることが示唆された。この二次的な脊髄虚血を防ぐことにより、脊髄損傷の進展を食い止める可能性があると考えられた。今後は、血流も含めた脊髄損傷の再生治療に必要な移植環境に注目した検討を行う予定である。
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Research Products
(2 results)