2006 Fiscal Year Annual Research Report
脊髄損傷に対する再生治療-胚性幹(ES)細胞を用いた基礎的研究
Project/Area Number |
16591455
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
中瀬 裕之 奈良県立医科大学, 医学部, 助教授 (10217739)
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Keywords | 脊髄損傷 / 再生治療 / 胚性幹細胞 / 脊髄血流 |
Research Abstract |
本研究の目的は、「脊髄損傷に対する再生治療において、移植材料としての胚性幹(ES)細胞の有用性の確立」である。平成18年度は、胚性幹細胞由来の神経幹細胞移植に着目し脊髄損傷に対する治療効果を検討した。 マウス胚性幹(ES)細胞から神経幹(NSC)細胞に分化誘導し、この培養・分離した細胞を脊髄損傷(SCI)モデルマウスに移植を行った。また細胞移植と同時に甲状腺ホルモンを追加投与も行い、これによる治療効果も比較・検討した。GFPで標識した129/SvJマウスの未分化ES細胞を多段階培養法にて培養し、ネスチン陽性の神経幹細胞を分離、これを移植に使用した。一方、脊髄損傷は129/SvJマウスに第10胸椎椎弓切除を施し、pneumatic impactor deviceで脊髄に硬膜外から一定の損傷を与えモデルを作製した。移植はこの損傷10日目の亜急性期に行った。36匹のマウスを無作為に、脊髄損傷のみの群(G1)、細胞移植群(G2)、細胞移植+甲状腺ホルモン投与群(G3)の3群に分けた。神経機能評価は移植後28日まで行いそれぞれ点数評価した。また移植後28日目には組織学的評価も行った。移植後14日以降、G2とG3はG1と比較していずれも有意差をもって行動評価で改善を認めた。G3はG2と比較してより改善傾向を認めたが有意差はなかった。組織学的には移植細胞の生着をすべてに確認し、いずれの時期にも腫瘍形成を認めなかった。 以上より、「脊髄損傷の細胞移植治療においてES細胞由来NSC細胞も材料の一つとして有効であることが示された。しかし甲状腺ホルモン投与でさらなる効果を認めることはできなかった。」と結論した。
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