2006 Fiscal Year Annual Research Report
羊膜細胞による神経再生研究-神経幹細胞としての確立と虚血脳への移植
Project/Area Number |
16591460
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
新井 一 順天堂大学, 医学部, 教授 (70167229)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
屋田 修 順天堂大学, 医学部, 助教授 (30265996)
阿部 祐介 順天堂大学, 医学部, 助手 (60286721)
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Keywords | 羊膜細胞 / 幼若細胞 / 移植 / グリア系細胞 / 虚血 / 海馬 |
Research Abstract |
羊膜細胞の特性については、抗原性が微弱であり,カテコールアミン、アセチルコリン、種々の神経栄養因子を産生することが確認されている。我々の研究においても、NBMで神経様に誘導した羊膜細胞は,免疫抑制剤を要せず,脳内に移植後も生存し、移植された細胞は周囲の神経組織に向かって突起を伸展するといった結果を既に報告している。叉、神経細胞との共培養により、羊膜細胞自体の神経細胞様形態変化および神経細胞自身の長期生存も確認している。 今回、この培養羊膜細胞を用いて虚血モデルラットと脳腫瘍モデルラットに移植を行い、形態学的変化や生存度、海馬幼若神経の状態観察を行った。 方法:(1)妊娠16日及び17日目Wister Ratより羊膜を採取し、37℃インキュベータ内においてB27/DMEM mediumを用いて3日間培養を行い、培養羊膜細胞を樹立した。(2)モデルラット作成:虚血モデルは右中大脳動脈閉塞モデルを作成。脳腫瘍モデルはC6(Glioma)を左前頭葉皮質下に移植し作成。(3)脳内移植:培養羊膜細胞をPKH26にてlabelingを行った後、定位脳手術装置を使用し移植した。移植部位は、右中大脳動脈閉塞モデルでは、梗塞と対側海馬、脳腫瘍モデルは腫瘍移植部と対側とした。(4)羊膜細胞移植後2週、4週にて各々のモデル動物を還流固定し、移植部位の脳切片を作成。羊膜細胞の形態変化や生存度の検証と共に、海馬幼若神経の状態に注目し、幼若神経のマーカーとしてDCX(doublecortin)とグリア系細胞のマーカーとしてGFAPを用いて、羊膜細胞移植有無における状態観察を行った。 結果:中大脳動脈閉塞モデルでは、移植羊膜細胞の神経細胞様変化は見られなかったが、梗塞部位への移植羊膜細胞の移動を示唆する所見が得られた。又、コントロールに対し移植した動物ではDCXに染まる内在性の神経が増加し、かつGFAPに染まる細胞が減少している所見が得られた。腫瘍モデルラットにおいては、腫瘍内への羊膜細胞の移動・正着は認められなかった。
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