2006 Fiscal Year Annual Research Report
挫傷脳における脳浮腫形成の機序:血液脳関門機成蛋白と細胞外マトリックスの変化
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16591463
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
川又 達朗 日本大学, 医学部, 助教授 (20234122)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片山 容一 日本大学, 医学部, 教授 (00125048)
森 達郎 日本大学, 医学部, 講師 (00318437)
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Keywords | 頭部外傷 / 脳挫傷 / 挫傷性浮腫 / ラット / 血液脳関門 / マトリックスプロテアーゼ |
Research Abstract |
目的 脳挫傷における脳浮腫形成の機序を明らかにし、頭部外傷における二次的脳損傷に対する治療の可能性を探る。 Matrix metalloproteinase(MMP)は、細胞外マトリックスの構成成分に作用するプロテアーゼである。MMPの過剰な活性は、血管内皮基底膜を融解し、血液膿関門の破綻や白血球の遊走を引き起こす。中枢神経系では、多発性硬化症の症状の増悪期や髄膜腫に伴う脳浮腫の発現に関与していることが報告されている。脳虚血再灌流モデルを用いた基礎研究では、MMP-9ノックアウトマウスにおいて血液脳関門の破綻が抑制されることが明らかとなっている。本研究では、ラット脳挫傷モデルにおいて、MMPの活性と血液脳関門の破綻、脳浮腫形成、運動機能との関係について調べ、MMP阻害剤がこれらにどのような影響を与えるか検討した。 方法 wistar ratにcontrolled cortical impact deviceを用いて定位的に脳挫を作成した。皮質挫傷部位を採取して、MMP-9活性をgelatin zymographyで測定した。血液脳関門の破綻の程度は、Evans Blueの漏出により評価し、挫傷性浮腫は、dry/wetweight methodにて評価した。運動機能の改善評価は、rotarodを用いた。MMP阻害剤を腹腔内投与し同様の検討を行ない、その効果を判定した。 結果 MMP-9活性は、脳挫傷作成後3時間から出現し18時間で最大となった。EvansBlueの漏出は、作成3時間後から認められ6時間で最大となった。脳挫傷後の浮腫形成は、6時間後から急激に増加し24時間で最大となった。MMP阻害剤であるGM6001の腹腔内投与により、MMP-9活性、Evans Blueの漏出と挫傷性浮腫は有意に抑制されたが、運動機能の改善は認められなかった。
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Research Products
(3 results)