2004 Fiscal Year Annual Research Report
乏突起膠腫の診断とテーラーメイド医療にむけた分子標的の同定
Project/Area Number |
16591465
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Research Institution | Chiba Cancer Center (Research Institute) |
Principal Investigator |
井内 俊彦 千葉県がんセンター, 生化学研究部, 兼務研究員 (80370881)
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Keywords | 乏突起膠腫 / 星状膠細胞種 / 1pLOH / cDNA chip / molecular diagnosis / survival |
Research Abstract |
乏突起膠腫64例、星状膠細胞種81例において、1p34-pterのLOH解析を行った。その結果、乏突起膠腫において、1p34-p35が共通して欠失していることが明らかとなるとともに、1p36.1のLOHが罹患患者の予後と相関している(p<0.0001)ことが明らかとなった。しかも、1p36.1のLOHは星状膠細胞種においても罹患患者の予後と相関する(p=0.0229)ことが判明し、同領域に腫瘍の種を超えた予後規定因子が存在することが疑われた。ただし、星状膠細胞種においては、LOHの頻度が低く、1p36.1におけるLOH陽性例も少なかったため、さらなる検証が必要と思われた。 一方、乏突起膠腫17例と、星状膠腫31例において、cDNA chipを用いた網羅的遺伝子発現解析を行い、両腫瘍における遺伝子発現の差異と、1pLOHとの相関性について検証を行った。解析を行った563遺伝子中、発現量に有意差を認めた遺伝子は240遺伝子にのぼり、両腫瘍の生物学的差異の大きさが示唆された。このうち、乏突起膠腫において特異的に(p<0.0001)発現が亢進していた5遺伝子を明らかにした。これら5遺伝子の発現量により診断を再検討すると、1pLOHの頻度は形態病理診断より分子診断の結果と良く相関し(p=0.015)、また、罹患患者の生存期間も、分子診断により良く相関した(p=0.043)。このように、今回抽出した5遺伝子の発現診断は、より正確な化学療法感受性乏突起膠腫の診断に有用である可能性が高いと考えられた。今後、これら5遺伝子の蛋白レベルでの発現について検証を行い、より現実的な診断法として確立していく必要があると思われた。
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