2005 Fiscal Year Annual Research Report
乏突起膠腫の診断とテーラーメイド医療にむけた分子標的の同定
Project/Area Number |
16591465
|
Research Institution | Chiba Cancer Research Institute |
Principal Investigator |
井内 俊彦 千葉県がんセンター(研究所), 生化学研究部, 兼務研究員 (80370881)
|
Keywords | 乏突起腫瘍 / 化学療法 / 分子診断 / 網羅的遺伝子解析 |
Research Abstract |
乏突起膠腫および星状膠細胞腫におけるLOH解析の症例を、それぞれ、69例、87例に症例を増加し、検討を行った。その結果、両腫瘍において、1p34-35、1p36.11-12、1p36.22-32の3カ所に共通欠失領域を認めた。このうち、1p34-35は乏突起膠腫において最も頻度の高い欠失領域で(85.5%)、同領域に本腫瘍の発生との関与が疑われるがん抑制遺伝子が存在することが疑われたが、同領域に局在する4遺伝子の発現解析では、乏突起膠腫・星状膠細胞腫とで発現量に差を認めず、候補遺伝子とは考えづらいと思われた。一方、1p36.11-12の欠失の有無は、乏突起膠腫でも(p<0.0001,相対危険率23.0倍)星状膠細胞腫でも(p=0.045,相対危険率2.4倍)罹患患者の生命予後と有意に相関しており、この領域に腫瘍の悪性度に関与する遺伝子の局在が疑われた。 一方、昨年度cDNA chipを用いて、乏突起膠腫診断に有効な5つの分子マーカー候補を抽出した。今年度はその候補遺伝子産物に対する抗体の作成を試みたが、特異的な染色が得られず、今後の課題となった。 今年度は、これらに加えて、千葉県がんセンターヒトcDNA chipを用いて、乏突起膠腫18例、星状膠細胞種67例に対して網羅的遺伝子発現解析を行った。このcDNA chipは乏突起膠腫で欠失の頻度の高い1p34-pterに局在する遺伝子を多く含んでおり、今回解析可能な発現量を示した28遺伝子について、乏突起膠腫と星状膠細胞腫で発現量の差を検証した。その結果、28遺伝子中13遺伝子で、両腫瘍感での有意な発現量の違いを確認した。この13遺伝子中、乏突起膠腫で発現亢進していたものは1p36.33に局在する1遺伝子のみで、それ以外の遺伝子は全て乏突起膠腫で発現が低下しており、これらの中に乏突起膠腫の発生に関与する遺伝子が存在する可能性が示唆された。
|
Research Products
(4 results)