2006 Fiscal Year Annual Research Report
光コヒーレンス断層法による脳微小循環と神経活動の時空間カップリングの解析
Project/Area Number |
16591467
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
関 淳二 国立循環器病センター(研究所), 生体工学部, 室長 (20163082)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高見沢 計一 国立循環器病センター(研究所), 生体工学部, 室員 (10163312)
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Keywords | 光コヒーレンス断層法 / 微小循環 / 神経循環カップリング / ドップラOCT / 血流プロファイル / 神経の可塑性 / 神経損傷性疼痛 / 光散乱特性 |
Research Abstract |
脳における神経活動と局所血流量の相関は、神経-循環カッブリングと呼ばれている。大脳皮質は垂直方向に層構造をなすとともに、皮質表面にモザイク状に配列するコラム構造があり、どちらもサブミリメータスケールである。生体組織に対して10ミクロン程度の空間解像度で深さ数mmにわたる断層像が得られる光コヒーレンス断層法(OCT)は、層構造やコラム構造などサブミリメートルスケールの3次元構造を有する大脳皮質を対象とするのに特に有効なものと考えられる。そこで本研究では、OCTを用いることにより、神経活動と微小循環との空間的時間的なカップリングを解明することを目的とする。 本年度は、微小血管内血流からのドップラ成分を検出することにより(ドップラOCT法)、皮質体性感覚野を支配する軟膜微小血管における血流プロファイルの、神経活動に伴う変化を求めた。その結果、刺激前後で平均血流速度の増大と比較して、拍動振幅の増大はその3倍に達することが示された。細動脈の直径が単純に増大するだけの場合、最大値最小値ともに同じ割合で増大すると予想されることから、このような血流の増大のしかたは血管系の刺激応答メカニズムに一定の条件を課すものと考えられる。 また、大脳皮質の可塑的変化に伴う神経組織の光散乱特性の変化に関して、長期間坐骨神経を結紮したマウスの大脳皮質で光散乱強度の変化を計測し、OCTによる脳機能計測の可能性を検討した。その結果、損傷側の下肢に対応する1次体性感覚野及び1次運動野において対照側と比較して有意な光散乱性の増大が認められた。この結果は坐骨神経絡紮による神経の可塑性がOCTにより計測可能なことを示すと考えられる。また、光散乱強度の増大は、神経の可塑性に伴って生じたシナプス密度、ミトコンドリア密度の増大を原因とする可能性が推測される。
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Research Products
(4 results)