2004 Fiscal Year Annual Research Report
介助動作における腰部椎間板の3軸方向の圧迫力と体幹筋疲労に関する実験的研究
Project/Area Number |
16591481
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
柴田 克之 金沢大学, 医学部, 助教授 (60178902)
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Keywords | 腰部椎間板 / 腰部圧迫力 / 介助動作 / 重量物の持ち上げ動作 / 3次元動作解析 / 体幹EMG |
Research Abstract |
本年度の研究課題は、新しい3次元動作解析装置を使用するため、介助動作の筋活動、動作解析を行うに先立ち、基礎的な動作データの収集すること。研究目的は異なる重量物を持ち上げる時に生じる腰部L1〜L5可動域及び静的カ学モデルで推定した椎間板内圧迫力を算出すること。 対象者:若年健常男性10名、23.7±2.6歳、身長169.9±6.2cm,体重63.4±2.8kg(過去に腰痛の既往のない者、本研究の趣旨に同意した者)であった。 実験課題は床面に置いた重量物を机上面まで持ち上げる動作であり、持ち上げ重量は(5,15kg)の2課題と、持ち上げる方向は前方、45°側方、90°側方の3課題を実施した。 動作測定は、超音波センサーによる3軸動作解析装置(Zebris CMS10)を被験者の腰背部に装着した。また体幹筋活動の測定には、表面電極を左右の腹直筋、外腹斜筋、脊柱起立筋の計6筋を導出し、パソコンで筋活動量を計測した。 結果:各課題による統計学的な優意差はなく、腰部L1〜L5の可動域は屈曲40.2±7.5で最も大きく、側屈、回旋は5°以下であった。体幹の筋活動は脊柱起立筋の筋活動が腹直筋、外腹斜筋に比べて、有意に活動量が増大を示した。また重量15kgは5kgに比べて1.4倍以上の活動比の増大を示した。しかし重量物を持ち上げる方向による差異は認められなかった。静的力学モデルで算出した腰部椎間板内圧迫力は、重量物5kgで1250〜1300N、重量物15kgでは2500〜2750Nを示し、NIOSH(アメリカの労働と安全調査機関)から提示されている、腰痛を生じる可能性のあるボーダーラインである3500N以下であった。しかし、本条件の持ち上げ課題の速度や繰り返し行う反復動作によって、体幹筋活動の疲労を助長させ、高いリスクとなることが推定される。本年度計測した基礎的なデータを基に、今後、介助動作の優劣との比較を行い、保健、福祉部門における腰部負荷の標準化を進めていく予定である。
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