2006 Fiscal Year Annual Research Report
ティッシュエンジニアリングを用いたバイオ人工関節の開発
Project/Area Number |
16591490
|
Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
内尾 祐司 島根大学, 医学部, 教授 (20223547)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
馬庭 壯吉 島根大学, 医学部, 助教授 (50239141)
森 隆治 島根大学, 医学部, 助教授 (40263537)
岩佐 潤二 島根大学, 医学部, 講師 (20294382)
|
Keywords | 変形性関節症 / 膝 / 靱帯再建術 / 前十字靱帯 / 関節軟骨 / 構造解析 |
Research Abstract |
前年に続いて家兎の骨髄由来細胞・滑膜由来細胞・筋由来細胞の軟骨細胞への誘導を試みた。軟骨細胞への分化指標としては、トルイジンブルーのメタクロマジー陽性、2型コラーゲン免疫染色陽性、RT-PCRで2型コラーゲン陽性、などを用いた。結果としては、滑膜由来細胞を継代培養せずにdexanmethasone(100 nM)とTGF・Bl(10 ng/ml)を含んだ培地で培養したときが最も軟骨細胞指標陽性の細胞が多かった。しかし、その場合でも指標陽性細胞は5%以下であった。また、ゲル内3次元培養を行ったところ、細胞源の違いにかかわらず、細胞数は増加するどころか半分以下に減少した。細胞減少の原因は、ゲル内部の細胞が死滅するためと考えられた。概ねゲル表面から深さ150μmくらいの表層に限って生細胞が存在していた。したがって、バイオ人工関節を実用化するには適切な細胞が不足していると判断した。 そこで、軟骨への分化を助けるスカフォールドとして骨組織を用いた。骨組織は多数のサイトカインを含んでおり、細胞の足場として適切な環境を提供する可能性がある。牛大腿骨皮質骨を板に形成して、その骨板上でMC3T3-E1を培養した。すると骨板に速やかに接着した細胞は良好な増殖と遊走能を発揮した。骨板表面に一定方向の溝をつけると、溝方向に約2倍の速さで遊走した。ランダム方向に粗さをつけるとランダム方向に遊走性を示した。続いて、骨を精密加工して家兎膝関節に移植し、移植細胞のスカフォールドとして可能性を検索した。異種骨ではあっても母床骨と密着し細胞の侵入を受けて生きた母床骨に置換されていた。骨組織は細胞の増殖や分化を促進するスカフォールドになる可能性がある。
|