2004 Fiscal Year Annual Research Report
機能的筋肉移植術における細胞動態と筋分化制御遺伝子の発現の解析
Project/Area Number |
16591493
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
伊原 公一郎 山口大学, 医学部附属病院, 助教授 (90184788)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大井 律子 山口大学, 医学部附属病院, 医員
吉田 佑一郎 山口大学, 医学部附属病院, 医員
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Keywords | 筋肉移植 / 筋衛生細胞 / 神経再生 / 再生医学 / 遺伝子 / 成長因子 |
Research Abstract |
実験計画に従って筋肉移植術における移植筋の再生に関する動物実験を行った。代表的なMRFsであるMyoDの発現の経時的変化を解析の主な対象とした。Wistar系ラットの腓腹筋を移植筋として使用し、移植モデル、阻血モデル、脱神経モデルの3群を作成した。移植モデルでは脛骨神経を一旦切断後に縫合し、脱神経モデルでは切離したままとした。すべてのモデルにおいて1時間の阻血を行った。これら3群について電気生理学的および組織学的に検討するとともに、MyoD mRNAの発現についてRT-PCR法を用いて検討した。その結果、 1)組織学的評価:移植翌日には筋衛生細胞の核の増加が認められ、以後核数は徐々に減少し筋線維も萎縮を認めた。術後4週にはさらに筋線維の萎縮が進行していたが、細胞の核数は再び増加していた。6週になると筋線維の肥大が認められた。 2)電気生理学的評価:針筋電図におけるM波の出現時期は術後4週で、2週では認められなかった。このことから、移植筋の再神経支配は術後2〜4週の間に起こっているものと推測された。 3)MyoD mRNAの発現は筋電図上の再神経支配時期である術後4週で劇的に増加していた。また3週時において移植モデルは脱神経モデルの2倍以上の発現量がみられ、移植筋において再神経支配はsatellite cellを活性化し増殖させることが推測された。 以上の結果から、重要な筋分化制御遺伝子であるMyoDが神経再支配時期に合わせて出現し、その後は速やかに消失することが判明し、当初の予想通り移植筋の回復過程には再生現象が関与していることが示唆された。これらの結果については、第51回米国整形外科基礎学会(平成17年2月、Washington, DC)において発表した。
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Research Products
(2 results)