2005 Fiscal Year Annual Research Report
IX型コラーゲンのTrp遺伝子多型は椎間板マトリクスの変性に影響を及ぼすか?
Project/Area Number |
16591496
|
Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
松井 好人 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助手 (80335348)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安井 夏生 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (00157984)
加藤 真介 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教授 (30243687)
二川 健 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教授 (20263824)
東野 恒作 徳島大学, 医学部・歯学部附属病院, 助手 (80380129)
|
Keywords | IX型コラーゲン / 遺伝子多型 / 椎間板ヘルニア / 椎間板 / 変性 / MRI / トリプトファン / 多発性骨端異形成症 |
Research Abstract |
1.日本人におけるTrp多型の頻度 腰部椎間板変性疾患の主要症状のひとつである坐骨神経痛と関連していることが報告されたIX型コラーゲンの遺伝子多型(本稿ではTrp多型と記載する)は、コラーゲンには通常存在しないトリプトファンが導入されるミスセンス変異である。日本人の健常な124名を調査したところ、26名(21%)にTrp多型を認めた(Clin Rheumatol in press)。Trp多型は3つの遺伝子でコードされるIX型コラーゲンα鎖のうちα2鎖とα3鎖でみつかっているが、興味深いことに、欧米では非常に頻度の低いα2鎖のTrp多型のみがわれわれの日本人症例では高い頻度で同定された反面、欧米では比較的高頻度でみつかるα3鎖のTrp多型は存在しなかった。 2.椎間板ヘルニアの手術症例におけるTrp多型を有する症例の特徴 臨床データが十分採取された日本人84例の腰部椎間板ヘルニア手術症例を対象に、肥満(BMI25以上)、喫煙歴、重労働、腰痛、下肢痛の重症度スコア(JOA分類を改変)、MRI上の椎間板変性スコア(Schneiderman分類を改変)とTrp多型の相関を40歳未満および40歳以上の2群に分けて統計学的に解析した。Trp多型は18例(21%)に認められ、40歳未満においてMRI上の椎間板変性スコアと有意の相関があった(未発表:投稿準備中)。40歳以上では相関がみられなかったことから、Trp多型は若年発症の腰部椎間板ヘルニア症例においてより重度の変性に関与し、重症化の増悪因子として働いている可能性があることが推察された。 3.変性椎間板におけるコラーゲンネットワークに対するIX型コラーゲンTrp遺伝子多型の影響 さきの腰部椎間板ヘルニア手術症例から得た摘出椎間板組織にペプシン消化、塩析を行ってII型、IX型、XI型コラーゲンを分離精製し、ウェスタンブロットによる解析を行った。切断肢より得てコントロールに用いた軟骨組織と比較した場合、摘出椎間板組織から精製されるIX型コラーゲンはきわめて微量であった(未発表:投稿準備中)。このことは腰部椎間板変性過程において、コラーゲンマトリックスに含まれるIX型コラーゲンは早期に分解を受けていることを示唆する。 4.IX型コラーゲン変異による腰椎病変 3世代12名の多発性骨端異形成症家系において5名からIX型コラーゲンα2鎖遺伝子にエクソンスキップ変異を同定した(Clin Rheumatol in press)。変異を持つ高齢者は同年代の健常者と比較して腰椎変性とすべりが著明であった(未発表:投稿準備中)。
|
Research Products
(6 results)