2005 Fiscal Year Annual Research Report
急性脊髄損傷におけるHMGB1の出現とエリスロポエチンによる脊髄変性阻害効果
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16591499
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
有島 善也 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (90336339)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
米 和徳 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (40182844)
長嶺 智徳 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 助手 (10359979)
横内 雅博 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (80359976)
林 協司 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (50325784)
小宮 節郎 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (30178371)
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Keywords | 脊髄損傷 / アポトーシス / エリスロポエチン / HMGB-1 |
Research Abstract |
急性脊髄損傷における機能障害の形成には、機械的損傷に続くアポトーシスによる遅発性の神経細胞の死が生じることが明らかにされているが、詳細な機序については不明であった。近年核蛋白であるHMGB-1がエンドトキシンショックなどにおける炎症のメディエーターとして働く事が証明されており、今回ラット脊髄損傷モデルにおけるHMGB-1の発現を証明し、TNF-αおよびTUNEL染色との比較によりアポトーシス誘導への関連について検討した。 ラット胸髄に圧迫を加え完全麻痺モデルを作成した。次に抗HMGB-1抗体、抗TNF-α抗体を用いた免疫染色を行いTUNEL法にてアポトーシスの検出を行った。これらの結果を比較し、相関につき検討した。またHMGB-1とTNF-α、caspase-3との二重染色を行い同一細胞内での発現を証明した。なおHMGB-1の特異的受容体であるRAGEについて発現を観察した。 損傷モデルにおいてはHMGB-1およびTNF-α陽性細胞が48時間を最大に認められた。一方TUNEL法では72時間を最大として発現が認められた。二重染色の結果、HMGB-1とTNF-αおよびcaspase-3は同一細胞内での発現が認められた。またHMGB-1はneuronとoligodendrocyteにおいて陽性であったが、astrocyteにおいては認められなかった。さらにHMGB-1とRAGEの発現は同一細胞において認められた。 HMGB-1はTNF-αなどの炎症性サイトカインの放出を誘導することが知られており、一方でTNF-αが脊髄損傷におけるアポトーシスの誘導に関与することが示唆されている。今回HMGB-1はTNF-αと同一細胞に発現していることが判明し、またその最大の発現はTUNEL法よりも先行していた。このことからHMGB-1のTNF-αと関連したアポトーシス誘導への役割が示唆された。
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Research Products
(3 results)