2005 Fiscal Year Annual Research Report
脳虚血後の炎症反応は神経学的転帰に重大な影響を与えるか?
Project/Area Number |
16591524
|
Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
三浦 美英 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (50241716)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
酒井 道子 山形大学, 医学部, 助手 (20143092)
|
Keywords | ラット / 前脳虚血モデル / プロポフォール / イソフルラン / サイトカイン / 炎症 |
Research Abstract |
プロポフォール(Prp)あるいはイソフルラン(Iso)がラット前脳虚血後の脳組織炎症性サイトカインmRNA発現(TNF-α、IL-1β、IL-6)に与える影響をRT-PCR法で経時的に測定した。PrpとIsoは作用機序が異なるため、麻酔薬深度の指標として昨年度の実績より脳波上burst supplession ratio (BSR)3〜9を用い、中枢神経系における等容量性を確保した。 虚血プロトコール 体重300g前後の雄性Sprague-Dawleyラットを一晩絶食とし、Iso麻酔下に麻酔導入し、気管挿管人工呼吸とした。実験中は頭蓋近傍温を37度に制御し、normotension、normocapneaを維持した。手術後、無作為にPrp群、あるいは、Iso群とした。目標麻酔深度を30分間維持し、その後10分間の虚血侵襲を与えた。再還流後さらに2時間麻酔を維持した。虚血後0,4,16,24,48,72,144時間の時点でラットをサクリファイスし(計14群)、脳組織を摘出した。 測定プロトコール 脳をBregma -4mmで1mm厚で切り出し、直ちにセラミックビーズを充填したカオトロピック塩を含む溶解バッファー内に入れ、ホモジナイズ後遠心した。上清をMagNA Pure LCインスツルメントを用いて磁性体ガラス粒子の入ったチューブでmRNAを分離精製し、cDNA化した。サイトカインmRNAをライトサイクラーインスツルメントでPCR測定した。 結果 TNF-α:両群で4時間にピークがあり、Prp群はその後急速に消退したがIso群では72時間まで遷延した。IL-1β:Prp群で発現が高度に抑制されたが、Iso群では4-48時間にかけてPrp群の約20倍の発現が見られた。IL-6:Iso群において虚血直後より発現が見られ16時間にピークが観察された。Prp群では4-24時間に発現が見られたが、Iso群の25-50%の発現にとどまった。 結論 前脳虚血モデルにおける脳組織炎症性サイトカインmRNA発現パターンは麻酔薬の影響を受け、PrpでIsoよりも高度に抑制される。
|
Research Products
(3 results)