2005 Fiscal Year Annual Research Report
コバルトイオンが脳虚血後のミトコンドリア機能に及ぼす保護効果
Project/Area Number |
16591541
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Research Institution | OKAYAMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
武田 吉正 岡山大学, 医学部・歯学部附属病院, 助手 (30294466)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森田 潔 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (40108171)
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Keywords | 脳虚血 / コバルト / 蛍光 |
Research Abstract |
本研究は脳梗塞急性期のミトコンドリア保護にコバルトイオンを用い、神経細胞障害を軽減することを目的としている。ラットの脳表(in vivo)でミトコンドリア膜電位を観察するため電子伝達系観察システムで観察した。キセノンランプで365nmの紫外線を脳表に照射し、大脳皮質ミトコンドリアのNADH(90%以上のNADHはミトコンドリア内に存在する)を励起する。脳表のNADH蛍光を電子冷却CCDカメラ(解像度30μm×30μm)で15秒毎に連続的に撮影しミトコンドリア電子伝達系の酸化還元状態を観察した。励起光によるフォトオキシデーションを防ぐため、励起光の光量を2mW/cm2以下にコントロールした。コバルトイオンは塩化コバルトの水溶液として大腿静脈より、虚血開始1時間後に投与した。塩化コバルトの投与により、NADH蛍光を強く発している領域(ミトコンドリアの呼吸鎖が停滞し還元状態に陥り、エネルギーを産生できていない領域)は減少傾向を示した。3時間の観察期間中、NADH蛍光領域が再拡大することはなかった。塩化コバルトを、虚血開始前より投与した場合、3時間の観察期間中、NADH蛍光領域はほとんど形成されなかった。コバルトイオンにはカルシウム拮抗作用があり、興奮性アミノ酸の放出を阻害すると考えられている。本研究においても同様の働きで興奮性アミノ酸の放出が低下し、エネルギー需要を減少させ、NADH蛍光領域の減少につながったと考えられる。
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