2004 Fiscal Year Annual Research Report
急性痛および慢性痛の疼痛機序解明と痛みの遺伝子治療を目指した基礎的研究
Project/Area Number |
16591543
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
溝渕 知司 岡山大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (70311800)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横山 正尚 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (20158380)
高橋 徹 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (40252952)
中塚 秀輝 岡山大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (70263580)
二宮 善文 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (70126241)
森田 潔 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (40108171)
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Keywords | 急性痛 / 慢性痛 / 疼痛メカニズム / 難治性疼痛 / 遺伝子治療 |
Research Abstract |
本研究課題では、急性痛だけでなく治療が困難なことが多い慢性痛に関し疼痛機序を分子生物学的手法を用いて遺伝子レベルから解明すると同時に、将来的には神経細胞に疼痛関連物質を遺伝子導入することにより痛みの遺伝子治療が可能かどうかを目指して研究を行っている。 平成16年度に本研究課題に関して我々が得た結果の主なものは以下の点である。慢性疼痛すなわち痛覚過敏の状態における急性疼痛刺激がもたらす影響に着目し、坐骨神経部分結紮モデル(Chungのモデル)を作成した4週間後、痛覚過敏が認められた状態下で痛覚過敏側にフォルマリンを注射した。この疼痛動物モデルで、ラットの疼痛行動は第II相において著明に抑制され、痛覚過敏状態にもかかわらず急性の炎症刺激には反応が乏しいことがわかった。さらに、この条件下で疼痛伝達の指標の一つとされるFOSタンパクの脊髄後角での発現は抑制されることがわかった。この分子メカニズムを説明する手段として、神経成長栄養因子の一つであるBDNFを測定したところ脊髄での発現が増加していることがわかった。現時点では、この結果が意味していることは言及できないが、我々は一連の研究の中でBDNFのバリアントに関し新しい知見を見いだしており、さらに研究を重ねることで痛みの治療につながる分子および分子メカニズムを見いだすことができると考えている。 これ以外に、神経因性疼痛モデル作成に関する工夫、脊髄および脊髄後根神経節組織摘出に関する工夫や疼痛関連遺伝子の抽出を行っており、より精度の高い疼痛研究が可能となっている。さらに、遺伝子治療に関連したプロジェクトも進んでいる。
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Research Products
(1 results)