2005 Fiscal Year Annual Research Report
消化管内エコシステムの改善による菌血症および敗血症症候群への治療介入
Project/Area Number |
16591553
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
志馬 伸朗 京都府立医科大学, 医学研究科, 助手 (00260795)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中屋 隆明 大阪大学, 微生物病研究所, 助教授 (80271633)
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Keywords | 敗血症 / 自然免疫 / プロバイオティクス / 消化管 / 抗菌薬 |
Research Abstract |
抗菌薬の多剤投与による消化管常在菌叢の根絶動物モデルを作成し、感染症時の自然免疫応答の変化を評価した。マウスにストレプトマイシンまたはストレプトマイシンとセフォタキシム2剤を溶解した滅菌水を2週間投与後、グラム陰性桿菌の病原性因子であるリポポリサッカライドを腹腔内投与し、重症腹腔内感染症モデルを作成した。多剤の抗菌薬投与を行っていた場合、リポポリサッカライド投与に対する全身性炎症反応の早期メディエーターであるTNF-αの血中濃度は有意に抑制された。これは、リポポリサッカライドの自然免疫系の受容体であるTLR-4の発現性減弱と相関していることが判明した。また、抗菌薬投与マウスでは有意の体重減少を認めていた。以上より抗菌薬投与による消化管常在菌巣の攪乱が、病原性微生物進入に対する宿主の自然免疫系の反応性を修飾し、総体として宿主の抵抗性減弱という臨床症状を引き起こす可能性を示唆するものであった。以上の結果は2006年度中に国内外での関連医学会にて報告できる見通しである。現在、より発展的な検討として根絶された消化管常在菌をプロ・プレ・シンバイオティクスの投与にて補充した場合の反応性の変化(回復)に関してデータ集積を続けているところである。また、TLR4以外の自然免疫系の受容体であるNOD2の反応性評価に関しては平成16年度に実験系は確立できており、これを用いて消化管常在菌巣と免疫応答の関わりについてのより詳細な検討をすすめているところである。
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Research Products
(7 results)