2004 Fiscal Year Annual Research Report
チロシンキナーゼ活性抑制による疼痛治療法の開発に関する研究
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16591554
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
廣瀬 宗孝 京都府立医科大学, 医学研究科, 助手 (50275228)
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Keywords | チロシンキナーゼ / 局所麻酔薬 / 神経成長因子 / TrkA / リドカイン / 疼痛過敏 / 自己リン酸化 / PC12 |
Research Abstract |
末梢の炎症により産生される神経成長因子(NGF)は、その高親和性受容体TrkAのチロシンキナーゼ活性を介して疼痛過敏を生じると考えられている。リドカインは臨床使用濃度においてある種の受容体型チロシンキナーゼ活性を直接抑制するが、TrkAのチロシンキナーゼ活性も抑制する可能性がある。今回NGF刺激によって神経突起伸展を来たすPC12細胞を用いて、リドカインによるTrkAのチロシンキナーゼ活性に及ぼす影響を検討した。【方法】NGF(100ng/mL)の刺激によるPC12細胞の神経突起伸展に及ぼすリドカイン(40μM、400μM)の影響を検討し、同時に神経細胞死の有無を確認した。TrkAのチロシンキナーゼ活性に対するリドカインの作用は、NGF刺激下のPC12細胞を用いてTrk抗体による免疫沈降とウェスタンブロットにより検討した。【結果】NGF刺激4日後のPC12細胞のうち28.9±3.3%が神経突起を伸ばしたが、400μMのリドカインは18.6±3.6%に有意に抑制した。またこの濃度は神経細胞死は生じなかった。TrkAのチロシンキナーゼ活性は、NGF刺激によるTrkAの自己リン酸化を100%とすると400μMのリドカインにより75.5±11.3%に有意に抑制された。【結論】局所麻酔時の神経に直接作用する濃度である400μMリドカインは、NGFによるTrkAのチロシンキナーゼ活性を抑制した。リドカインの局所麻酔による疼痛過敏抑制作用のメカニズムは、ナトリウムチャネル阻害作用以外にTrkAに対する直接抑制作用も含まれることが示唆された。
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