2005 Fiscal Year Annual Research Report
揮発性麻酔薬の血管収縮抑制作用における蛋白リン酸化酵素の役割に関する研究
Project/Area Number |
16591557
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
小川 幸志 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教授 (30204077)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水本 一弘 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (50239258)
畑埜 義雄 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (70115913)
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Keywords | アンギオテンシン / 血管平滑筋 / セボフルラン / イソフルラン / 蛋白リン酸化酵素 |
Research Abstract |
平成16年度はアンギオテンシン収縮に及ぼす揮発性麻酔薬の作用を検討し、その結果、セボフルランはアンギオテンシンによる血管収縮を抑制したが、細胞内カルシウム濃度には有意な抑制作用を示さなかった。Western blot法によりセボフルランは収縮蛋白のカルシウム感受性を調節している蛋白リン酸化酵素であるPKCの発現を抑えることにより、アンギオテンシン収縮を抑制することが明らかとなった。今年度はこの結果を受け、揮発性麻酔薬の他の蛋白リン酸化酵素に及ぼす影響を検討した。 1.セボフルランのRho kinase、mitogen-activated protein kinases(MAPK)に及ぼす影響 1)Rho kinase阻害薬であるY27632およびMAPK阻害薬であるPD98059はアンギオテンシン収縮を濃度依存性に抑制した。 2)セボフルランは濃度依存性にアンギオテンシン収縮を抑制した。 3)Western blot法によりセボフルランはアンギオテンシン刺激によるRho kinaseおよびMAPKの発現を濃度依存性に抑制した。 以上の結果からセボフルランのアンギオテンシン収縮抑制作用はPKCだけでなくRho kinaseおよびMAPKの発現抑制を介したものであることが解明された。 2.イソフルランのprotein tyrosine kinases(PTKs)に及ぼす麻酔薬の作用 1)PTKs刺激薬であるsodium orthovanadate(Na_3VO_4)はラット大動脈輪状標本を持続的に収縮させた。 2)PTKsの阻害薬であるgenisteinの処置はこの収縮を完全に抑制した。 3)イソフルラン(1.2〜3.5%)はNa_3VO_4による血管収縮を濃度依存性に抑制した 4)Western blot法により血管平滑筋細胞内PTKs活性を測定したところ、Na_3VO_4によるPTKsの有意なリン酸化を認めた。 5)このリン酸化の時間経過は血管収縮反応の時間経過と一致しており、genisteinにより著明に抑制された。 6)イソフルラン(1.2〜3.5%)はNa_3VO_4によるPTKsリン酸化を濃度依存性に抑制した。 以上の結果から、イソフルランの血管拡張作用がPTKs細胞情報伝達経路の抑制を介していることが明らかとなった。
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Research Products
(5 results)