2006 Fiscal Year Annual Research Report
術後高次脳機能障害に対するグルタミン酸NMDA受容体拮抗性麻酔薬の治療効果
Project/Area Number |
16591564
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
後藤 隆久 横浜市立大学, 医学研究科, 教授 (00256075)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石黒 芳紀 帝京大学, 医学部, 教授 (40232285)
高田 真二 帝京大学, 医学部, 講師 (90226788)
坂本 英俊 帝京大学, 医学部, 助手 (90349267)
森田 茂穂 帝京大学, 医学部, 教授 (60143476)
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Keywords | キセノン / 高次脳機能 / NMDA受容体 |
Research Abstract |
本研究は、全身麻酔下にて3時間以上の腹部および整形外科大手術をうける60歳以上の患者を対象とし、グルタミン酸NMDA受容体拮抗作用が強い2種類の麻酔薬であるケタミンとキセノンが、術後認知機能低下を改善するという仮説を検証するための研究である。本年度は3年計画の研究の最終年にあたり、また研究代表者の後藤が帝京大学から横浜市立大学に異動したため、新しい患者のリクルートはなく、S-100β蛋白測定および術後データの取得と解析を行った。 平成16年からの3年間で、合計65名の患者よりデータを得ることができた。亜酸化窒素+セボフルランで麻酔維持された対照群21名のうち6名で、術後2週間での認知機能低下を認めた。ケタミンを加えた群22名中7名、キセノン麻酔の群22名はそれぞれ4名であり、キセノンの方が少ない傾向にあったが、有意差には達しなかった。(ケタミンとキセノン群間でカイ二乗検定P=0.29)S-100βは3群で差を認めなかった。6ヵ月後の認知機能低下は対象群では17名中3名、ケタミンでは20名中4名、キセノンでは18名中2名であった。(ケタミンとキセノン群間でカイ二乗検定P=0.53) 本研究は研究中に麻酔科における大量離職などの影響を受け、予定数より少ない患者数しかリクルートできず、検出力が不足したと考えられる。S-100β蛋白は低値で推移する患者がほとんどで、高次脳機能の研究を行うのにあまり適していない可能性が示唆された。それとは別に、キセノン群の患者の手術中に血圧低下が少なく、術後の回復が早い印象があった。これは今後の研究課題と考えている。
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Research Products
(1 results)