Research Abstract |
我々は,2000,250,または5Hzの正弦波電気刺激により末梢神経のAβ,Aδ,またはC線維を選択的に刺激する装置(Neurometer【○!R】,東洋メディック,東京)を用いて13人の健康ボランティアに体性疼痛刺激を与え,その精神物理学的特徴を分析した。その結果,250Hzまたは5Hz刺激で中等度疼痛を与えるのに必要な電流は,2000Hzの場合に比べ1/4倍または1/6倍であり,これらの電流が侵害受容を特異的に活性化することが示唆された。250Hzおよび5Hz刺激は,2000Hz刺激より鋭く,より不快な疼痛を起こした。また,疼痛閾値程度の弱い刺激を与ると,各周波数で疼痛の馴化(habituation)が観察されたが,中等度疼痛刺激では有意な馴化が見られなかった。 次に,上と同じ刺激を用いて,機能的磁気共鳴画像法(fMRI)による全脳イメージングを行った(n=3)。1.5テスラMRIスキャナー中で,右前腕腹側に各周波数の電気刺激をblock paradigm(30秒ごとに刺激off/onを4回繰り返し)で与えながら,高速エコープラナー法で全脳撮影を行った。撮像パラメーターは次のようであった:TR=3000ms; TE=50ms; flip angle=90; matrix=64x64; field of view=192x192mm; slice thickness=6mm, no gap; 18 axial slices.得られた機能画像を,Linux PCシステム・ソフトウェアMatlabおよびMEDxを用いて統計解析した。多重比較後にp<0.05の有意さを以てfMRI信号変化を呈したvoxelを,疼痛刺激による脳賦活化部位とした。その結果,2000/250/5Hzの各周波数刺激に対して,前帯状皮質,前頭皮質,島皮質,第二次感覚皮質,小脳に疼痛関連脳活動を観察した。
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