2004 Fiscal Year Annual Research Report
虚血再灌流時における炎症性メディエーターと心機能障害との関連
Project/Area Number |
16591570
|
Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
中西 一浩 日本医科大学, 医学部, 講師 (30217765)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂本 篤裕 日本医科大学, 医学部, 助教授 (30196084)
|
Keywords | 肝部分切除術 / 虚血再灌流障害 / 炎症性サイトカイン / 心機能低下 |
Research Abstract |
転移性肝腫瘍に対し肝部分切除術を予定されている患者5名を対象とした。右内頚静脈より右室駆出率測定用スワンガンツカテーテルを挿入し、経食道エコーと共に、左右心室の駆出率および心血行動態の測定を行った。同時に、ICAM-1、TNF-alpha、IL-1、IL-6、IL-8、IL-10の血清レベルと、iNOS、cNOSの遺伝子発現をRT-PCRを用いて測定した。血行動態測定および血液サンプルの採取は、麻酔導入後、肝循環遮断前、肝循環遮断解除直前、肝循環解除直後、肝切除後、手術後の時点で行った。5例とも数回の肝循環遮断を要した。遮断解除後は、前負荷の軽減とともに末梢血管抵抗の軽減、心駆出率の低下に伴う血圧と心拍出量の低下が生じた。特に、E/Aの低下、つまり左心室拡張能の低下は顕著であった。ICAM-1、TNF-alpha、IL-1、IL-6、IL-8、IL-10の血清レベルは、それぞれ肝循環遮断解除後上昇し、肝循環停止の度に血清レベルの上昇を認めた。iNOS、cNOSの遺伝子発現は、5例中2例で確認しえた。まだ、症例数が少ないため統計学的検討は不可能であるが、一過性の炎症性メディエーターの上昇が、末梢血管抵抗、心駆出率低下と心拡張能低下を招来している可能性が強く示唆された。また、そのような血行動態の不安定は、肝循環遮断解除の度に増強されることが示唆された。但し、肝循環停止の度に血液サンプルを採取・測定することは研究費の都合上不可能であるので、現在、測定ポイントを再検討中である。
|