2005 Fiscal Year Annual Research Report
虚血再灌流時における炎症性メディエーターと心機能障害との関連
Project/Area Number |
16591570
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
中西 一浩 日本医科大学, 医学部, 講師 (30217765)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂本 篤裕 日本医科大学, 大学院・医学研究科, 教授 (30196084)
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Keywords | 虚血再灌流障害 / 肝切除術 / 炎症性サイトカイン / 心機能抑制 / Hem oxygenase-1 mRNA / iNOS mRNA / 経食道心エコー |
Research Abstract |
肝切除術の虚血再灌流(I/R)後には、しばしば治療に難渋する低血圧を経験する.I/R後の肝臓においては炎症性サイトカインとガス状ラジカルの遺伝子発現が誘導されるとともに、血液中の炎症性サイトカイン値が増加する.それゆえ、肝切除術中、I/R前後の炎症性メディエーター値の変動と循環動態変動との関係を調べた。また抹消血液におけるガス状ラジカルの誘導も調べた.循環の評価の為、スワンガンツカテーテルおよび経食道心エコー(心駆出率、A/E比、組織ドップラーおよび左室拡張終期容量等の測定)を用いた。炎症性メディエーターとして、ICAM-1、tumor necrosis factor-α(TNF-α)、interleukin(IL)-6、IL-8、IL-10の血清値およびcarbone oxide(CO)の誘導酵素であるHeme oxygenase-1(HO-1)とnitric oxide(NO)の合成酵素であるiNosの遺伝子発現を調べた。 【研究結果】肝切除患者12名においてそれらパラメーターの測定を行った。肝I/R後、炎症性メディエーター値の上昇と、敗血症に相似した心拡張能の低下を伴う心駆出率の低下および末梢血管抵抗の低下により血圧低下が生じることを確認した。ICAM-1、TNF-α、IL-6、IL-8、IL-10の血清値は一回目の肝I/R直後より増加し、最終のI/R直後から術直後にピークを迎えた.また、その際の心拡張能と駆出率の低下とTNF-α、IL-6の血清値との間には有意な相関を認めた。さらに、抹消血液中にHO-1とiNOSの遺伝子発現を認めた。 【総括】肝切除術中のI/R後に生じる循環動態の不安定化には肝臓より流出される炎症性サイトカインが関与している事が示唆された,また抹消血液中にHO-1とiNosの遺伝子発現が誘導されており、循環動態変動に何らかの影響を及ぼしている可能性がある.
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Research Products
(1 results)