2004 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト単球、好中球のミトコンドリア機能に与える手術侵襲・麻酔薬の影響について
Project/Area Number |
16591575
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
川崎 貴士 産業医科大学, 医学部, 講師 (60299633)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
南立 宏一郎 産業医科大学, 大学病院, 助手 (50299632)
緒方 政則 産業医科大学, 医学部, 助教授 (70169176)
佐多 竹良 産業医科大学, 医学部, 教授 (60128030)
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Keywords | 手術侵襲 / 麻酔薬 / 自然免疫 / 単球 / 好中球 / ミトコンドリア |
Research Abstract |
手術侵襲・麻酔薬が、自然免疫において中心的な役割を持っている食細胞(単球・マクロファージ、好中球)の機能に与える影響を、細胞内部組織レベルで検討することが、今回の研究の目的である。 手術侵襲が免疫能を低下させることは多数報告されている。我々は、術中免疫能変化に注目し、手術侵襲により術中早期に免疫能が低下することを報告し、この免疫能低下に注意を払うことが、術後感染性合併症防止に重要であることを示唆してきた。手術侵襲による傷害、感染に対する初期宿主防御反応の先端を担うのが自然免疫であり、食細胞が重要な役割を持っている。食細胞の機能は走化性、貧食能、殺菌能があるが、これらの機能の活性化はミトコンドリアによるエネルギー産生によるところが大きい。ミトコンドリアの呼吸鎖により産生されるATPは、細胞内カルシウム上昇、purinergic P2 receptor経路を介し食細胞機能を活性させることが近年報告されている。そこで、ミトコンドリアのエネルギー産生、活性化、形態に与える手術侵襲・麻酔薬の影響を検討することにした。 現在、我々は、麻酔薬が単球、好中球のミトコンドリア機能に与える影響について検討中である。様々な濃度の静脈麻酔薬(ケタミン、プロポフォール、バルビツレート)、局所麻酔薬(リドカイン、メピバカイン、ブプバカイン、ロピバカイン)とともに、健常成人から採取した末梢血から分離した単球、好中球を数時間培養した。培養後、細胞内ATP濃度測定、蛍光標識されたマーカーによるミトコンドリア機能評価、ミトコンドリア形態評価をおこなった。静脈麻酔薬であるプロポフォールは、濃度依存性に好中球ミトコンドリア機能を低下させる傾向が見られた。また、局所麻酔薬も好中球ミトコンドリア機能を低下させる傾向が見られ、さらなる検討が必要と考える。
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article]
Author(s)
Nakadate K., et al.
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Journal Title
Anesthesia & Analgesia In press