2004 Fiscal Year Annual Research Report
プロテオミクスを利用した尿路上皮癌のための複合バイオマーカーの開発研究
Project/Area Number |
16591593
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
吉貴 達寛 滋賀医科大学, 医学部, 助教授 (80230704)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
若林 賢彦 滋賀医科大学, 医学部, 講師 (80191724)
金 哲將 滋賀医科大学, 医学部, 講師 (10204968)
成田 充弘 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (00263046)
上仁 数義 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (90324590)
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Keywords | 尿路上皮癌 / 腫瘍マーカー / プロテオミクス |
Research Abstract |
まず臨床応用の第一弾として、尿路上皮癌細胞で発現増加することが判明した9個の既知の蛋白質のうち、新規腫瘍マーカーとしてカルレティキュリン測定系を開発中である。この蛋白質について、各種疾患を含む251例の尿に対するウェスタンブロッティング法による検討では、尿路上皮癌検出率73%、特異性86%という非常に優れた結果であった。現在、市販の抗カルレティキュリン抗体を2種類使用して、商品に準じた測定系の開発に成功している。コストダウンと安定供給のために、現在、自前のマウス抗カルレティキュリンモノクローナル抗体を作製中である。標準物質についても、われわれが大腸菌で遺伝子工学的に作製した人工カルレティキュリン蛋白質が、測定系に採用可能な高品質であることが確認された段階にまで到達している。 さらに、カルレティキュリン単独検出よりも成績を向上させるため、癌で発現増強する他の蛋白質の検出も組み合わせて検討中である。現時点では、もう2種類の尿中蛋白質を同時検出することで、約5%の陽性率の改善に成功している。特異性に裏打ちされた約80%の検出率は、既存の腫瘍マーカーと比し、驚異的である。しかも強調されるべき点は、一般の臨床応用キットで採用されている二抗体サンドウィッチ検出法より明らかに感度が低い実験室レベルのウェスタンブロッティング法によって、この優れた成績が達成されたことである。すなわち、予備的検出法の段階から臨床仕様のキットに完成されれば、さらに感度が高くなることが十分に期待できるとともに、その結果として既存の尿路上皮癌腫瘍マーカーを駆逐する可能性を秘めている。このようにして、順次互いに補完関係にある複数の蛋白質を検出系に組み込むことによって、従来の腫瘍マーカーの感度・信頼性を大幅に上回る測定系を開発可能である。
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