2005 Fiscal Year Annual Research Report
腎癌における核マトリックスタンパクHMGI(Y)の発現と役割に関する検討
Project/Area Number |
16591594
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
野々村 祝夫 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (30263263)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥山 明彦 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (20093388)
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Keywords | 腎癌 / 核マトリックス / HMGI(Y) / 細胞周期 / 免疫組織染色 |
Research Abstract |
前年度に行った、前立腺癌細胞株PC3のマウス皮下xenograftにおける核マトリックスタンパクHMGI(Y)抗体による免疫組織染色は癌細胞優位な染色性を示したが、ヒト腎癌の臨床検体における、染色強度の比較による半定量化は困難であることが判明した。従って、各病期における腎癌の凍結組織を用いた免疫組織染色では、病期と相関した発現強度を示さなかった。臨床病理学的研究のためには染色性の定量化が望ましいが、そのためにはパラフィン包埋組織でも染色のできる抗体を入手する必要がある。実際には、市販されている抗体ではパラフィン包埋組織を染色することはできなかった。そこで、発現の定量化をタンパクではなく、mRNAで行うこととし、Real-time PCRを行った。4種類の腎癌細胞株(OUR-10,NC65,Caki-1,ACHN)においては全て164bpの予想通りのサイズのPCR productが得られ、前立腺癌細胞株DU145,PC3とともに高発現を示した。また、凍結腎癌組織を用いて20例について検討した結果、癌組織においては100%高発現を認めたが、正常組織では約60%程度の発現頻度であった。定量化によって、正常部分に比べて癌組織(原発巣)の方が発現レベルは概ね高い傾向を示した。また、癌組織における発現ではhigh stageの方がlow stageより発現が高い傾向を示した。次に、転移を有する腎癌症例に関して原発巣におけるHMGI(Y)の発現レベルの検討をやはりReal-time PCRにて検討した。症例はわずか8例であるが、これらの症例では正常腎組織と原発巣腎癌組織におけるHMGI(Y)の発現比が2を超えると優位に予後不良の傾向を示した。
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