2004 Fiscal Year Annual Research Report
緑膿菌性尿路感染症対策としての抗バイオフィルム剤探策とその基盤技術の開発
Project/Area Number |
16591597
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
門田 晃一 岡山大学, 医学部・歯学部附属病院, 助手 (60291473)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
狩山 玲子 岡山大学, 医学部・歯学部附属病院, 助手 (40112148)
上原 慎也 岡山大学, 医学部・歯学部附属病院, 助手 (30379739)
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Keywords | 緑膿菌 / バイオフィルム / 尿路感染症 / 抗バイオフィルム剤 / 実験モデル系 / カテーテル留置 / 発熱 / 多剤耐性 |
Research Abstract |
緑膿菌性尿路バイオフィルム感染症の予防および治療法の確立を主要な目的として研究を遂行している。今年度は、新しい実験モデル系であるキャピラリーフローセルシステムを用いて、抗菌薬や植物成分であるポリフェノール類の評価を開始した。GFP(green fluorescent protein)産生株・非産生株のいずれを用いても、再現性のある実験系として使用可能となり、抗菌薬を含む抗バイオフィルム剤開発のための新しい評価系になるものと考えられた。 一方で、より有効かつ普遍的な治療法の確立を目的として、基礎的・臨床的問題点を把握するための解析も行った。岡山大学泌尿器科で1993年から2002年までの10年間に分離された尿路感染症由来緑膿菌153株(1症例1株)を対象とした。今年度は、尿路における緑膿菌のバイオフィルム形成能と、臨床的因子(カテーテル留置・発熱の有無)および薬剤感受性との関連性を検討した。バイオフィルム形成能をマイクロプレート法により定量化し、高度・非高度形成群の2群に分類した。高度形成群の方が、カテーテル留置および発熱の頻度が高かった。バイオフィルム形成能と薬剤耐性(piperacillin, ceftazidime, imipenem/cilastatin, gentamicin, ciprofloxacin)との関連性については、高度形成群が多剤耐性化傾向を示した。また、上記5薬剤すべてに耐性を示す緑膿菌は、0又は1薬剤に耐性を示すものと比べ有意にバイオフィルム形成能が高かった。以上の結果から、バイオフィルム形成能の高い緑膿菌は、多剤耐性でカテーテル留置や発熱症例からの分離頻度が高く、注意が必要と考えられた。また、緑膿菌のバイオフィルム尿路感染症における抗菌化学療法の難治化には、バイオフィルムとしての防御機能だけではなく細菌自体の耐性化も関与していると推測された。
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Research Products
(2 results)