2004 Fiscal Year Annual Research Report
ナトリウム重炭酸共輸送体の選択的阻害による腎癌転移抑制の試み
Project/Area Number |
16591614
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Research Institution | Fukuoka Prefectural University |
Principal Investigator |
森山 信男 福岡県立大学, 看護学部, 教授 (80143501)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関 常司 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (30206619)
有泉 高史 福岡県立大学, 看護学部, 助教授 (30286166)
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Keywords | NBC1 / 腎癌細胞転移 / 細胞内pH |
Research Abstract |
ナトリウム・重炭酸共輸送体(NBC1)は種々の細胞に発現し、重炭酸の分泌・再吸収ならびに細胞内pH調節機構にとって極めて重要な役割を果たしている。我々は正常の腎臓においては本来近位尿細管基底側膜に発現しているNBC1がヒト腎癌(RCC)組織組織にも豊富に発現していることを同定し、報告してきた。今回、NBC1の腎癌における意義をより明らかにするため、培養ヒトRCC細胞を用いて実験を続けている。現在までに細胞内pH測定実験により、Na/H交換輸送体(NHE1)、C1/HCO3交換輸送体(AE)に加えて、NBC1機能活性が悪性度の異なる各種RCC細胞株に発現していることを確認した。またNBC1蛋白発現についてもアイソフォーム特異的抗体を用いたWestern解析により確認された。さらに共焦点レーザー顕微鏡を用いた免疫組織化学的解析によりNBC1はRCC細胞質内のみならず細胞膜にも発現していることが確認された。一方、細胞遊走能を調べる実験系において、悪性度の高いRCC細胞株の遊走能は重炭酸輸送体の非特異的阻害剤であるDIDSならびにNBC1特異的阻害剤により著明に抑制されることが確認された。しかしこの細胞の遊走能はNHE1阻害剤によっては全く影響を受けなかった。またNBC1阻害剤およびNHE1阻害はともに細胞内pHを著しく低下させており、遊走能は細胞内pHの変化によってのみ影響を受けているのではないことが示された。これらの知見はおそらくNBC1が腎癌細胞内局所の容積調節を促し、腎癌の転移機構において極めて重要な働きを担っていることを強く示唆している。今後さらにNBC1に対するアンチセンスなどを用いた実験を予定している。
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Research Products
(3 results)