2005 Fiscal Year Annual Research Report
高脂血症治療薬Clofibrateの抗腫瘍剤への応用を目指した基礎的研究
Project/Area Number |
16591632
|
Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
横山 良仁 弘前大学, 医学部, 講師 (90261453)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水沼 英樹 弘前大学, 医学部, 教授 (10125875)
|
Keywords | Clofibrate / Clofibric acid / Carbonyl reductase / プロスタグランディンE_2 / 卵巣癌 / 血管新生抑制 / アポトーシス誘導 / 抗腫瘍剤 |
Research Abstract |
PPAR α ligandであるclofibric acid(CA)はプロスタグランディン(PG)E_2の阻害酵素であるCarbonyl reductase(CR)を誘導しPGE_2活性を低下させる。CAの抗腫瘍効果について検討した。1)8週齢のヌードマウス背側に0.5x10^6/mlのヒト卵巣癌細胞OVCAR-3を移植し担癌モデルを作製した。2)同種ヌードマウスに0.5x10^6/mlのヒト卵巣癌細胞DISSを腹腔内に移植し癌性腹膜炎モデルを作製した。コントロール群(CONT群)、CA食餌内投与群(CA群)、CDDP腹腔内投与群(CDDP群)、CA+CDDP群に分け、担癌マウスの腫瘍制御率、癌性腹膜炎マウスの生存期間、腫瘍内CR量(Western blot・densitometry)、血清中(S)・腫瘍中(T)・腹水(A)中のPGE_2濃度とVEGF量(ELISA法)、腫瘍中微小血管密度(MVD、CD31陽性)、腫瘍中アポトーシス出現頻度(TUNEL法)を検討した。成績は以下のごとくである。1)腫瘍制御率はCONT群に比べCA群46%(p<0.0002)、CDDP群34%(p<0.002)、CA+CDDP群76%(p<0.0001)であった。2)生存期間はCONT群で31.2日であった。60日生存率はCDDP群55.6%(p<0.001)、CA群60%(p<0.001)、CA+CDDP群80%(p<0.0001)であった。CDDP群とCA+CDDP群の間にも有意差を認めた(P<0.005)。3)腫瘍内CR量はCONT群・CDDP群に比べCA群、CA+CDDP群で約3倍に増加していた。4)CONT群に比べCA群・CA+CDDP群ではS・T・A中のPGE_2濃度は約25%まで減少(各々p<0.0001)、VEGF量は約30%まで減少した(p<0.05、p<0.005)。CONT群に比べCA群、CA+CDDP群ともMVDは50%へ減少し(p<0.02)、アポトーシスの出現頻度は2.5倍に増加していた(p<0.005)。結論として、CAはCDDPに匹敵する抗腫瘍効果を示した。CAの作用機序としてPGE_2活性が低下するための血管新生抑制とアポトーシス誘導の2つが示唆された。
|
Research Products
(4 results)