2005 Fiscal Year Annual Research Report
高純度一次培養系を用いた胎盤形成におけるトロホブラスト分化調節機序に関する研究
Project/Area Number |
16591644
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤井 知行 東京大学, 医学部附属病院, 助教授 (40209010)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上妻 志郎 東京大学, 医学部附属病院, 助教授 (10272569)
山下 隆博 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (90313147)
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Keywords | トロホブラスト / 脱落膜リンパ球 / 血管新生因子 / インターロイキン-2 / 妊娠高血圧症候群 / T helper-1 / 胎盤形成 / 細胞培養 |
Research Abstract |
妊娠子宮内膜である脱落膜中に存在する母体免疫細胞がトロホブラストの分化、機能に及ぼす影響を、特に血管新生因子の産生に注目して検討した。 妊娠高血圧症候群において、Thelper(Th)1サイトカイン優位状態と胎盤血管系構築障害が病態発症の中心的役割を果たしていると考えられている。しかし、これらの2つの現象がどのような関連をもっているのか明らかになっていない。我々は、妊娠高血圧症候群患者胎盤で発現されているインターロイキン-2(interleukin(IL)-2)により脱落膜の単核球(decidual mononuclear cells(DMCs))から誘導されたリンフォカイン活性化キラー細胞(lymphokine activated killer(LAK) cells)がCTの血管新生活性を減弱させることを報告した。そこで、LAK細胞がどのようにしてCTの血管新生活性を減弱させるのか検討した。妊娠初期胎盤から分離したCTを活性化させていないDMC、DMCから誘導したLAK細胞で処理した後培養し、培養上清中の血管新生因子をELISAで測定した。その結果、LAK細胞で処理されたCTは、非活性化DMCで処理された場合より多量のsFlt-1(血管新生阻害活性あり)を分泌し、また非活性化DMCで処理されたCTは、何も処理されなかった場合より多量のsFlt-1を分泌することがわかった。しかし、CTからのVEGFやPlGF(血管新生促進活性あり)の分泌はこうしたリンパ球による処理でも変化しなかった。すなわち、妊娠高血圧胎盤では、そこに発現しているIL-2によりDMCから誘導されたLAK細胞が存在し、それが脱落膜に浸潤していくCTに働いて、全体として血管新生を抑制していることがわかった。このことが胎盤血管系の構築障害を引き起こし、胎盤の虚血を誘導して、妊娠高血圧症候群を発症させていると考えられた。
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Research Products
(1 results)