Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 泰 富山医科薬科大学, 附属病院, 助手 (60324050)
米田 哲 富山医科薬科大学, 医学部, 助手 (30345590)
塩崎 有宏 富山医科薬科大学, 附属病院, 助手 (00235491)
斎藤 滋 富山医科薬科大学, 医学部, 教授 (30175351)
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Research Abstract |
1.簡便な早産予知マーカーの開発: 頸管中IL-8が高値となる膣内細菌環境を検討すると,嫌気性病原菌の検出と,Lactobacillus属の消失の2項目が抽出された。多変量解析の結果,頸管中IL-8高値と相関していたのは,Lactobacillus属が検出されない場合のみであった。即ち,膣内Lactobacillus属の消失は,頸管炎のRisk因子になることが判明した。また,頸管中IL-8値と顆粒球数は妊娠24-28週までは安定した値をとり,両者の間には有意な正の相関が認められた。顆粒球数117/視野をcut off値とすると,早産におけるSensitivity70.8%,Specificity90.1%と,頸管中IL-8値と同等の早産予知能を有することが判明し,今後IL-8値に替わる頸管炎マーカーとして臨床応用しえる可能性を指摘しえた。 2.頚管長短縮例に対する治療法の確立: 頸管長短縮例を炎症により大別すると,頸管中IL-8高値群では,IL-8正常値群に比して早産率が有意に高く,頸管炎を有する頸管長短縮例の早産予後は極めて悪いことが判明した。IL-8正常群での縫縮術施行例(n=121)の34週,37週未満の早産率はそれぞれ4.1%,33.1%であり,非施行例(n=44)の率(13.6%,54.5%)に比して,それぞれ有意に低率であった。一方,IL-8高値群での縫縮術施行例(n=40)の早産率は77.5%であり,非施行例(n=33)の率(57.6%)に比して有意に高率であった。即ち,頸管長短縮例に対する縫縮術は,頸管炎のない症例に対しては有効であるが,頸管炎のある症例ではむしろ行うべきではいことが判った。
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