2004 Fiscal Year Annual Research Report
ラミニンペプチドScrambleを用いた卵巣癌腹膜播種仰制の試み-卵巣癌進展阻止法の確立に向けたトランスレーショナル・リサーチ-
Project/Area Number |
16591650
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
吉田 好雄 福井大学, 医学部附属病院, 講師 (60220688)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒川 哲司 福井大学, 医学部, 助手 (60334835)
河原 和美 福井大学, 医学部附属病院, 助手 (60234100)
小辻 文和 福井大学, 医学部, 教授 (50153573)
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Keywords | 卵巣癌 / ラミニンペプタイド / 浮遊細胞 |
Research Abstract |
Mills GBらは2003年のNat Rev Cancerで、卵巣がん活性化因子の中で最も重要なのは卵巣癌患者の腹水中に存在するLPA(Lysophosphatidic acid)であると報告している。しかし、卵巣がん細胞の腹水中での足場非依存性生存能、細胞増殖能、腹膜接着能、浸潤能等考えるとLPAの存在だけでは十分説明できない。 癌の進展機構に関し最も注目されるものの一つに、癌腫周囲の細胞外基質、特にその主な構成成分であるラミニンの役割がある。Byers LJは悪性卵巣癌の腹水中には正常人の場合に比較して有為に多くのラミニンが存在している。と指摘している。しかしその役割についてはラミニン自体非常に巨大な分子で且つ多くの生物学的活性を有しているため、不明である。従って、巨大分子であるラミニンの機能を解明するために、個々の機能部位(ペプチド)に分けて生物活性を解明することが重要である。Kleinmann HKらはラミニン-1のアミノ酸配列を決定し個々の機能部位に分けて合成ペプチドを作りラミニンの機能を検討してきた。その中でラミニンα1鎖c末端部G domainに存在するAG73(RKRLQVQLSIRT)ペプチドが、卵巣癌の転移に関与することを我々は報告してきた。今回、AG73と誘導体であるスクランブル型(T)が腹膜播種にどのように関与するかを、我々が樹立した腹水中に浮遊増殖する卵巣がん細胞株、高度足場非依存性増殖能を有するTAC3細胞(Plane dish上、浮遊状態で増殖、ECM coated dish上、接着し増殖。"癌細胞が腹水中で生存し腹膜に接着・浸潤する"という卵巣癌の癌性腹膜炎in vitroモデル)を用いて検討した。 【結果】(1)AG73はAG73Tよりより強くラミニン上でのTAC3細胞接着阻止活性を用量依存的に認めた。しかし、cisplatinによるTAC3のアポトーシスの誘導効果にはなんら影響を与えなかった。(2)TAC3とAG73、AG73Sインテグリンβ1、syndecan-1を介し接着した。また下流のシグナルではMAP/ERK系は活性化したがPI3K/AKTの活性にはなんら影響を示さなかった。 【結論】AG73は、細胞増殖能は認めたが化学療法に対しては抵抗性を示さなかった。従ってAG73は卵巣癌の接着を阻害し抗がん剤の活性をあげる可能性があることが判明した
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Research Products
(5 results)