2005 Fiscal Year Annual Research Report
難治性不妊症である受精障害例の原因解明とその治療法に関する研究
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16591677
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Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
柳田 薫 国際医療福祉大学, 臨床医学研究センター, 教授 (10182370)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 章太郎 福島県立医科大学, 医学部産婦人科, 助手 (60372827)
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Keywords | 不妊症 / 受精障害 / hyperactivation / 先体反応 / 体外受精 / 卵細胞質内精子注入法 / 原因不明不妊症 / 卵活性化 |
Research Abstract |
受精障害は体外受精(IVF)や卵細胞質内精子注入法(ICSI)を実施しなければ判明しない病態で、早期診断が望まれる。受精障害は受精機序のいかなる異常でも起こり得、多岐にわたる。精子の先体反応、hyperactivation、精子・卵融合の障害によるものでは、治療としてICSIを選択できる。精子のhyaluronidase活性をzymogenic assayで評価すると受精成立のcut off値を設定できた(1.6mm)。1.5mm以下の測定値では受精障害となった。精子運動能をCASAで解析したが,受精能の指標が得られなかった。人工授精(AIH)での妊娠を指標にすると、妊娠成立には運動性良好精子回収後精子の高速直進運動精子割合が45%以上が必要であった。Acridine orange染色は精子核蛋白の未熟性を評価できるが(未熟な精子では精子・卵融合能が障害される)、これによると、原因不明不妊で核蛋白が未熟な例では高率に受精障害が発生した。したがってこれらの検査で異常を認めた場合、受精障害を避けるためにICSIを選択することになる。他の受精障害の原因として、卵活性化、精子頭部脱凝縮、前核形成・融合などに関するものが考えられる。第二減数分裂中期卵の紡錘体異常(欠損および形態異常)は16%に認められることが指摘されている。また、精子頭部脱凝縮異常は核蛋白異常との関連も示唆される。これらの紡錘体や核蛋白異常による原因には治療としての対処法が考えられない。卵活性化異常についてはICSIを行い、受精しなかった卵の約70%が卵活性化障害であり、さらにその70%が精子側に原因を認めた。この原因に対してはICSIに人為的卵活性化法を併用することで、受精させることができ、今回は新たにStrontium処理法を応用し妊娠・分娩に成功し、この方法の有用性を示すことができた。
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Research Products
(14 results)