2007 Fiscal Year Annual Research Report
婦人科悪性腫瘍が産生するカリクレイン属セリンプロテアーゼに関する研究
Project/Area Number |
16591678
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
宮城 悦子 Yokohama City University, 医学研究科, 准教授 (40275053)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平原 史樹 横浜市立大学, 医学研究科, 教授 (30201734)
宮城 洋平 神奈川県立がんセンター, 臨床研究所腫瘍病理研究室, 技幹 (00254194)
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Keywords | 卵巣癌 / 浸潤・転移 / セリンプロテアーゼ / カリクレイン / 臨床検体 / 遺伝子発現 |
Research Abstract |
本年度は卵巣癌におけるカリクレインサブタイプの遺伝子発現を網羅的にスクリーニングした結果について,組織型特異性に着目し検討した. ヒトカリクレイン(H-KLK)4,5,6,9,10,11について,文書による同意を得て手術時に採取した卵巣癌臨床検体における遺伝子発現量比較をReal-time RT-PCR法により行ってきた結果を統計的解析し、組織特異性を明らかにした. まず、卵巣癌由来細胞株の検討で、KLK10は高頻度(89%)に高発現していることが見出された.一方で,KLK4,9の遺伝子発現はほとんど認められなかった.またKLK6は明細胞腺癌由来細胞株で高頻度(75%)に発現していることを見出した. 手術検体の解析では、KLK10遺伝子の高発現(100%),およびKLK4,9低発現の傾向は卵巣癌由来組織でも確認された.卵巣癌組織におけるKLK異伝子発現の組織特異性の検討結果で、KLK5は漿液性腺癌,類内膜腺癌で高く明細胞腺癌,粘液性腺癌で低い傾向が認められた.KLK6の発現は全般に高い傾向があるが,特に明細胞と漿液性で顕著であったが.KLK10は漿液性、類内膜腺癌で特に発現が高い傾向があり,KLK11は漿液性腺癌で特に発現が高い傾向であった.明細胞腺癌ではKLK5,11の発現が低く,KLK6高い傾向,これは細胞株の検討と同様の傾向であった.一方,KLKのサブタイプの遺伝子発現と臨床進行期・予後・腫瘍マーカーCA125との相関についても検討したが,いずれの因子にも相関は認められなかった. 卵巣癌組織におけるH-KLK10遺伝子の高頻度の発現が明らかになり,今後は新たな腫瘍マーカーとしての可能性を追求する意義があると考えられる.また,KLK-5には漿液性腺癌の臨床的特性を形作る何らかの作用がある可能性が示唆された.
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Research Products
(1 results)