2004 Fiscal Year Annual Research Report
異常妊娠の胎盤のトロホブラスト機能に与える各種サイトカインの影響
Project/Area Number |
16591681
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Dokkyo Medical University |
Principal Investigator |
林 雅敏 獨協医科大学, 医学部, 助教授 (90164962)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大藏 健義 獨協医科大学, 医学部, 教授 (80092394)
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Keywords | 妊娠高血圧症候群 / 胎盤 / 血清 / TNF-α / IL-6 / total protein / ELISA / 免疫組織染色 |
Research Abstract |
正常妊娠では、胎盤のtrophoblastが脱落膜と子宮筋層に浸潤し、ラセン動脈が変容して、良好な胎盤への母体血循環が成立します。しかし、妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)ではtrophoblast浸潤の阻害が起こり、この浸潤阻害が病因であるとの説が有力です。それを踏まえて、胎盤組織中のサイトカイン濃度を測定するために、分娩直後に胎盤の中央部の組織を約2g切離し、液体窒素にて急速凍結し冷凍保存しました。この胎盤組織にphosphate-buffered saline 10mlを加えた後、ミキサーにて均質化しました。本溶液を遠沈し、上清を-70℃にて凍結保存しました。溶液中の総蛋白(TP, total protein)濃度をpyrogallol red-molybdate complex reactionにて測定し、胎盤組織中のサイトカイン濃度をELISA(enzyme-linked immunosorbent assay)法にて測定しました。胎盤組織中の蛋白濃度で較正したTNF-α濃度(TNF-α/TP)は両群間で有意の差を認めず、さらに、免疫組織染色にてtrophoblastと脱落膜のいずれの組織でも、TNF-αの染色の強さが両群間であまり差がありませんでした。しかし、血清中TNF-α濃度は正常妊婦に比較して、妊娠高血圧症候群妊婦の方が有意に高値でした。この結果によりTNF-αは胎盤組織内でのtrophoblast浸潤阻害に関連する病態への関与が薄く、血管内皮傷害に関連する血液中での機能が重要であることが示唆されました。 同様に、IL-6を検討しますと、胎盤組織中の蛋白濃度で較正したIL-6濃度(IL-6/TP)は両群間で有意の差を認めず、さらに、免疫組織染色にてtrophoblastと脱落膜のいずれの組織でも、IL-6の染色の強さが両群間であまり差がありませんでした。また血清中IL-6濃度も両群間で有意差を認めませんでした。したがって、血液中でも胎盤組織内でもIL-6の妊娠高血圧症候群の病因に関与する可能性は低いと推定されました。
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Research Products
(2 results)